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2006年9月 6日 (水)

愛着のある本 その2 「2度目のハレー彗星」

ドイツにエルンスト・ユンガーという作家がいた。19世紀末に生まれ、21世紀に入る直前にこの世を去った。 ロンドンで仕事をしていた1998年の冬のある日、102歳で大往生したというニュースが新聞にも載った。日本語の新聞にも死亡記事が出ていた記憶がある。

この人は、ドイツでも毀誉褒貶の激しい人で、プロイセンの軍人として高校を繰り上げ卒業して、第一次世界大戦に従軍。 傷を何度も負いながら戦場に復帰、最後は、第2次世界大戦でも勇名を馳せたロンメル将軍と同じプール・ル・メリット勲章を当時のドイツ皇帝からもらった人である。このときの体験を日記につけていたらしく、敗戦後、本にして出版したところベストセラーになった。 フランスのアンドレ・ジッドは第一次世界大戦について書かれた本でももっともすばらしい作品だと激賞した。

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内容的には、戦場の凄惨な場面も含めて日常生活を客観的に叙述し、レマルクのような、戦争=悪とかヒューマニズム的センチメンタリズムとは無縁なスタイルだった。後年、ナチスが政権をとり海外亡命したトーマス・マンからは、ワイマールの墓堀人と揶揄されたりもした。同氏の著書には、SF風の小説や哲学的評論とかいろいろあるが、出色なのは日記ではないかと思う。第二次世界大戦中、従軍してパリに駐屯したパリ日記もなかなか面白いし、死の直前までずっと日記を書き続けて、出版している。

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1980年代の終わりごろ、世はバブル真っ盛りのころであった。 新宿の紀伊国屋で偶然、ユンガー著「2度目のハレー彗星」のドイツ語版を見つけ、このご老体、まだ生きているのか、と不思議な感動を覚えながら、購入した本だ。 90歳にならんとする歳だが、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどを旅行した日記風の旅行記である。 目的は、1986年に地球に接近したハレー彗星(76年に一度大接近する)を見ることだった。 ユンガーは子供のころ、つまり1910年に両親や兄弟と一度この彗星を故郷のハノーバーで見ている。 つまり、生涯2度目のハレー彗星との遭遇である。本の中で、同氏は同様に2度ハレー彗星に遭遇する幸運に恵まれたマーク・トゥエインに言及している。 _091 同時にこの書は生涯の趣味、甲虫類のコレクターとしての昆虫採集の旅でもあった。 昆虫を通した文明論でもある。 昆虫にまつわるエッセイは日本語訳も出ていて(「小さな狩」ある昆虫記)、子供の頃、胸をときめかしてハンミョウやオサムシを追いかけた日々の追憶からマレーシア、アフリカ、イタリアはサルジニアなどの昆虫採集と旅にまつわる楽しいエッセイである。 

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