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2006年9月21日 (木)

味の記憶 その1 「スフラキ」

8月のブログで、二十歳のころのドイツでひと夏過ごしたことを書いたけれど、今日は、食べ物のことを書こうかと思う。 

日本では、グルメブームとなって久しいけれど、これは、日本が豊かになったからだと思う。 イギリスに2年間住んだことがあるけれど、人はイギリスの食事のまずさをあげつらう。 けれど、ロンドンで住んでいた限りの記憶では、皆おいしかったぞ、というのが偽らざる印象である。 豊かさこそ、人が美味しいものを求め、口が肥える為の条件ではないだろうか? もちろん、天才的に美味しいフランス料理と中国料理は別格であるが。

ロンドンは大都市で旧植民地の人間も多く、とにかくインターナショナルなレストランが山ほどあって、どれもこれも旨かった。 (確かにハズレはある。 フランスが大好きな友人によれば、フランスでは、ハズレがまったくなく、どんなところでも、美味いのだそうだが)。 特に、インドカレーとトルコのケバブは病みつきになった。 いずれ、そのことも話題にして、ブログにアップするつもりだければ、今日は、手始めに、ギリシャ料理の「スフラキ」と行きたい。

「スフラキ」は串に肉と赤ピーマンとか玉ねぎとかを交互に刺してグリルしたものと、オリーブオイルで和えた?パサパサのライスと一緒に食べるギリシャ料理の定番である。付け合せにトマトとキュウリがついていたと記憶する。 肉は、羊、豚、牛、チキン、魚までチョイスがあるが、初めてこの「スフラキ」なるものを食べたのは、1976年、今からもう30年も前のドイツはハノーバーであった。 1976年は記録的な猛暑に襲われたヨーロッパだったが(最近は毎年、猛暑らしいが)、私はポーランド人の友人と毎日泳ぎに出かけた。 そして、ヌーディストクラブで偶然知り合いになったドイツ人ペーターさん(私は二十歳でむこうは30歳でもうすでに離婚経験者だった)に誘われて食べたのが最初だった。 とにかく、美味しかった、そして、お腹が一杯になった。 又、安いという利点もあった。 特に、ご飯が食べられる!というのがうれしかった。 当時、日本食レストランなんでなかった。 会っても、貧乏学生が食べられるような値段ではなかった。とにかく、この「スフラキ」は、何度食べても飽きなかった。そして、満足感があった。 (グルメのフランスかぶれの友人は、これに当たるのがパリでは、クスクス料理だそうだ)。 たっぷりと食べた後は、トルコ・コーヒーと同じで、コーヒーが沈殿しているとても濃いどろどろしたギリシャ・コーヒーとウゾ(ギリシャのウォッカ)で締めくくるのを常とした。 何度この「スフラキ」を食べただろうか!!!

学生時代の記憶は、長らくよき思い出として脳裏に残った。 1984年、オランダで1年研修生活を送った時に、市内で偶然、ギリシャ料理屋を見つけた。 一瞬にして、あのハノーバーのおいしかった「スフラキ」を思い出して、中に入りオーダーした。 が、昔の感激はどこにいったのか、ああ、こんなものかという感じであった。

時は過ぎて、40代に、ロンドンで激務をこなしていた頃。 若い研修員君が、住んでいるところ(Prime Rose Hill)の近くにおいしい評判のギリシャレストランがあるんです。 道を歩いていると、イギリス人に何度も、行き方を聞かれるんです、おいしいに違いないですよ、という話を聞いて、又、「スフラキ」を思い出した。 よし、行こう! ある日思い立って、出かけた。 前菜は、イワシの塩焼きとタラモ・サラダ(タラコとマッシュポテトを和えたものを、ピータという中近東風のパンで食べる。 とても美味! ワインに合う!)と白ワインで、まずは、乾杯する。 そして、メインは、「スフラキ」である。 学生のころ食べたお肉は、ポークだったと思う。 このレストランは洗練された!ギリシャ料理で、牛、豚、鶏、魚とチョイスもあり、盛り付けもなかなか美しかった。 私は牛を頼んだ。 そして、お味は? やはり、ドイツで食べたときの[スフラキ]が一番おいしかったような気がする。 ここの「スフラキ」ももちろん、オランダで幻滅したときとは違って、洗練されていて、とても美味しかったのだが、それほどの感激はなかったのだ。 

たぶん、自分が変わってしまったのだろう。 生意気にいろいろ贅沢しすぎたからだろう。 よくよく考えると、「スフラキ」は、ギリシャの家庭料理である。 ご飯付きの串焼きバーベキューというシンプルな料理なのだ。 以来、「スフラキ」は食べていない。 そして、1976年、ハノーバーで食べた「スフラキ」は、作家 梶井基次郎が短編小説「檸檬」で書いたように、ますます、輝きを増して、時折、私の記憶の中に蘇っては、また、記憶の奥底に沈んでいく。

日本で敢えてギリシャ料理屋を探して、高いお金を出して食べようとは思わない。 海外に出る機会があって、ふとギリシャレストランに出会ったら、ひょっと入って、「スフラキ」を又試すかも知れないが・・・。 

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