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2007年1月11日 (木)

北朝鮮の核問題を考えてみる。

仕事と野鳥三昧ですっかり世の中一般のことに背を向けていたのだが、昨年12月を過ぎた頃から余裕が出来てきて、まずは、極東で問題になっている朝鮮半島の北朝鮮問題について本を読んだりして考えてみた。

テレビでも新聞でも雑誌でもいろいろと報道されているが、年末に読んだ重村智計氏著「朝鮮半島の核外交」(講談社現代新書)がいちばん核心をついた解説をしているのではないだろうか?

この本を読んで一番感心したのは、北朝鮮の国力、つまり、経済力を誰も正確に理解せずり議論しているという指摘だろうか。著者によれば、北朝鮮の国家予算は日本の島根県予算より小さいという。そして、北朝鮮は絶対に戦争は出来ないと指摘する。これは、彼らの石油輸入量を見れば、2週間以上戦争は継続できないことが明らかだからだそうだ。又、通常兵器も経済破綻をしているため、旧式のものがほとんどで、これは日本の自衛隊も含めて在韓米軍・韓国軍関係者では常識になっているそうだ。北朝鮮の食糧問題がかなり深刻なのは世界の常識になっているが、もっと深刻なのはエネルギー不足だという。まともな経済活動を維持することもままならないのだそうだ。

では、何故、北朝鮮は、核兵器開発にこだわるのか?著者の結論は、核兵器を持つことで危機を煽り、周囲の国の注目を集めるためだそうだ。実は、北朝鮮にとって危険な国というのは存在しないという。中国も、ロシアも、韓国も、日本も、そしてまた米国も北朝鮮に対し戦争をしかける理由がない。パキスタンとインドの場合は宿敵同士、お互いに水と油の敵であり、核兵器を持つ理由があるが、北朝鮮にはないのだ。北朝鮮に冷戦が終わって、もはや潜在的な敵がいないのに何故、核兵器を持つのか?唯一考えられる理由は、常に周囲の注目を集めておくことなのだ、そうだ。北朝鮮にとって困るのは、誰からも相手にされないことだという。北朝鮮に対して、もっとも効果的な方策は、まともに相手にならないこと、これだという。したがって、アメリカのブッシュ大統領の基本的な対応姿勢は間違っていないという。

金正日だが、北朝鮮の国家予算規模が日本の島根県と同レベル(人口100万未満)ということは、本来なら、県知事レベルの首長だということだ。天下のアメリカ、中国を振り回す、この島根県より小さい北朝鮮だが、経済破綻を言われ相当数の餓死者を出しながら、相変わらず大規模な軍隊を維持し(軍隊というのは金食い虫である)、核兵器を持ってしまったようである。「核兵器保有」は、「金王朝」自らの政権の生き残りが目的なのだ。人民民主主義と社会主義の看板は大嘘である。核開発を放棄すれば、1994年のアメリカとの合意で現在の輸入量に匹敵する石油をただで手にすることが出来るのに、それを棒に振ってまで固執する理由はそれ以外に考えられないのだ。もしそれを飲めば、自らの政権が崩壊してしまうと恐れているのだそうだ。国民を犠牲に、自らの特権を守り、生き残るためにやっていることなのだ。

だから、現政権の北朝鮮に対する宥和を続けている限り、核兵器放棄は絶対ない、と重村氏は言い切っている。何故なら、核兵器を保有することが、自らの特権を守る唯一手段だと信じており、しかも通常兵器より安上がりな!手段だからだ。問題は、核兵器を持つことが、本当に現政権(自らの特権)を維持することになるのかどうか、保証がないのに、出来るものと硬く信じ込んでいることだ。

日本の対北朝鮮のスタンスは、安倍総理になって始めて明確化された。拉致問題と核問題が解決されない限り、国交正常化はない、という基本スタンスである。何故、これまでこの拉致問題が解決しなかったか?これは、歴代の日本与党政権が、北朝鮮に対してこの基本方針でキッパリと対応しなかったからだ(出来なかった)。その意味で、自民党も含めて日本の学者やマスコミも含めた社会主義を信奉する左翼シンパの罪は重い。今でこそ、朝鮮総連はじめ、いわゆる日本左翼シンパはなりを潜めたが、冷戦が崩壊してからもしばらくは、北朝鮮の拉致問題を学者やマスコミが事実を報道しようとするなら、ものすごい嫌がらせ、バッシングを受けたという。冷戦が崩壊し、社会主義政権の醜悪な部分が次々と暴かれ、かつての栄光は地に落ちた。しかし、それでも、日本のマスコミや学者には、その余韻が残っているという。これでは、朝鮮半島を冷静に見ることは出来ない。日本が譲歩する必要はない。人質問題と核問題が解決されたら、国交回復をすれば良い。その逆は有り得ない。核兵器は脅威だが、これは、核の抑止力をもつ、アメリカ、中国、ロシアに処理してもらうことだ。彼らが、不作為で何もしないときは、日本は核武装すべきだ。(これは私の意見)。

北朝鮮の核問題で誰が得をしたか?実は、ある意味で日本であると著者は言う。日米同盟は、冷戦終了で、主要な敵、ソビエトという共産勢力を失った。共通の敵があるからこそ、同盟は成り立つ。敵がなくなれば、かつての日英同盟と同じ運命になっていた。小泉外交は、あやうく北朝鮮宥和に傾き、日米同盟をご破算にする寸前まで行ったのだ。

重村氏の本を読んで勉強になったのは、中国、ロシアと北朝鮮の関係である。北朝鮮がかつて日本の左翼陣営から輝ける社会主義国と礼賛されていた実態は、ソ連、中国の友好価格にもとずく経済援助漬けの国だった。まさに、従属経済理論のサンプルである。

ゴルバチョフの登場のソ連(そしてその後のロシア)に捨てられ、中国に捨てられ、八方塞がりになってしまった北朝鮮。 北朝鮮の外交は振り子外交と揶揄される。ソ連にくっついたかと思うと、中国にくっつき、両方から蹴っ飛ばされると、韓国と宥和政策を取るというパターンなのだそうだ。現在六者協議の枠組みでの解決をはかろうとのアメリカの思惑で動いているが、主導権は確かに中国にある。中国は、実はロシアをはずしたかったらしいが、北朝鮮が動いて、ロシアを入れたという。

中国・ロシアは、対アメリカを牽制する意図もあってなのか、アメリカ・日本のような強行措置には反対で、対北朝鮮に融和的に振舞っているように見えるが、実態としては、間違いだ。中国にしてもロシアにしても、北朝鮮はもはや同盟国ではない。同盟国でないということは、北朝鮮は戦争は出来ないということなのだ。現金決済でなければ、ソ連は北朝鮮に最新の兵器などは売らないという。一方で、プーチン大統領は、金総書記に、個人的に名馬をプレゼントしたりはして取り入っているという。

北朝鮮という独特の儒教社会主義、言ってみれば李氏朝鮮の生まれ変わりのような政権を作ったのは、実は、大国のエゴでもあった。冷戦崩壊後、ソ連、中国などはあっさりと韓国を承認し国交を結び、北朝鮮を無慈悲にも捨てたのだ。誰にも相手にされなくなった国、北朝鮮。冷戦崩壊後から、孤児となってしまった北朝鮮の金王朝とその特権階級の生き残り策の結果が、現在の「核兵器開発」に煮詰まったのだ。何という悲劇だろうか!

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