2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ

« 気ままにおしゃべり(2)~女優アリッダ・ヴァリをめぐる散策 | トップページ | 生まれて始めて、ワシ類(オオワシ)に遭遇! »

2007年1月25日 (木)

気ままにおしゃべり(3) 日本人の食生活が豊かになったのはこの30数年だ。

連想と飛躍をしながら、お喋りを続けます。

映画「1900年」で小作人の農家の一家が、ガツガツ食べるシーンを見ながら、昔は世界どこも貧しかったのだなと思う。地主の倅だった父の記憶によれば(2006年12月7日のブログ参照)、小学校で、洋服を着て、靴を履き、お弁当にはご飯に卵焼きがついていたのは父だけで、普通の小作農の子供たちは、ボロボロの着物で裸足、鼻水をたらして、お弁当は白米と梅干しだけ、だったそうだ。 映画「1900年」の世界そのままじゃないか。また「1900年」では、子供がカエルを捕まえて、地主の家族の食卓にタンパク質の供給源として並べられているのを記憶しているが、父の実家では、やはりタンパク質をとるべく、田圃でイナゴを捕まえて、佃煮にして食べたそうだ。このあたりもパラレルだ。

父のすぐ上の兄だが、大東亜戦争中、満州国はソ連との国境にいたというが、食べ物の話として、毎日毎日が日本で言うご祝儀並みのご馳走だったそうだ。それほど当時の満州は、地味豊かで食べるものが一杯あったらしい。明治維新当時、3000万と見積もられる日本の人口が、その後の50年間で倍に増えた当時、世界的な不況の中で、日本の農村は疲弊した。イギリス連邦、アメリカ、フランスなどが次々とその植民地とともに地域ブロック経済圏を作って、閉鎖的になったのだから、行き場のない日本が満州に活路を見いだす為に出て行くことは、やむを得ないことだった。 父の兄だが、その後、南方の島に転戦となり、ネズミ、カタツムリからなんでも食べるという餓えを経験し、栄養失調になって死線をさまよったが、何とか生き延びて帰国。現在、84歳で健在だ。

邱永漢氏の「中国人と日本人」をたまたまベッドの中で就寝前に読んでいたら、日本人の食卓は戦後もしばらくは、つつましやかで、実際の所、貧しかった、と指摘している箇所に出くわした。高度経済成長を経て、生活に余裕が出来て、今では、東京のレストランとなると、世界のいろいろな国の料理がトップレベルの品質で賞味できるまでになったが、ここ30数年のことなのだという。戦後の日本人の味覚の大きな変化は、アメリカの影響で、戦後、まずパン、チーズ、牛乳、バター、それにハンバーグなどが普及したが、アメリカの味覚にあきたらなくなった日本は、フランス料理に行き着いた。日本料理は、フランス料理の影響をうけつつ進化しているのだという。なるほど・・・。

四方を海に囲まれ、緑豊かな自然に恵まれた日本。新鮮な素材(特に、魚介類)をシンプルに味付けして賞味する味覚は、日本人の擦れていない故に「ウブで鈍感」とも言え味覚にその秘密があると、邱氏は自説を展開するのだが(中国語の味覚を区別する語彙に比べると、日本語の語彙は貧弱だという指摘)、豊かになるとともに、世界の未知なる新しい味覚に「敏感に反応」し、料理の洗練度でいう世界の双璧である中華とフランス料理とは全く違う角度(これが日本だ!)から日本刀のように鋭い切れ味で日本の味覚を洗練して、世界の檜舞台に躍り出たのが日本料理だ。これが現在、世界的に、日本料理店が増え続けている理由ではないだろうか?

寿司の例で言うと、私事だが、2年前、ベルリンで2度、寿司を食べたけれど、ひとつは、上海人経営のレストラン、もうひとつは、グランド・ハイアット・ホテル内でミャンマー人が握る寿司バーだった。ロンドンのシティーにある某日本レストランで握る寿司職人はタイ人だった。(8年前の話)。味は、日本で食べるにぎり寿司職人の味と全く変わらなかった!海外の日本食も、ここまで来たかぁ、という感慨を持った。

20年前のオランダ時代だと、日本食は、少数の海外駐在日本人が食べるマイノリティーの食事だった。日本人が作って、日本人と地元の余裕のある人が話の種に食べる程度の食事だった。だいたい、「魚を生で食べる」というのは、野蛮人、未開人の習慣だと、偏見を持って見られた。彼ら同士が曰くありげに目配せしながら、日本食なるものを食べるわけだ。

日本料理の神髄は、と問われれば、「新鮮な素材をシンプルに味わう醍醐味」と要約できるだろうか。確かに、フランス料理はいろいろなソースで味付けするし、中国料理もいろいろな調味料が登場する。つまり、いろいろと手を掛けて加工するのだ。それが、芸術の域にまで洗練されているのが両者の共通点だろう。「70%が調理法、30%が食材の割合」で東西の双璧であるのに対し、日本料理は「70%が食材、30%が調理法」だそうだ。

邱氏の話で目から鱗だったのは、中国人は、フランス料理と日本料理を選ぶとしたら、間違いなく日本料理を選ぶという。理由は何か?驚くなかれ、中国人にとってフランス料理とは自分たちの「亜流」だと思っているのだそうだ。「フランス料理の調理法で中華料理にないものは一つもないが、中華料理にあってフランス料理にないものはいくらでもある・・・。中国人がフランス料理から習ったものがあるとすれば、それはフランス風の調理法ではなく、フランス風の飾りつけや盛り合わせだろう」。中国人が日本料理に1目も2目も置くのは、ズバリ言うと、「彼らの発想外の味覚」だからだそうだ。

(続く)

« 気ままにおしゃべり(2)~女優アリッダ・ヴァリをめぐる散策 | トップページ | 生まれて始めて、ワシ類(オオワシ)に遭遇! »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 気ままにおしゃべり(2)~女優アリッダ・ヴァリをめぐる散策 | トップページ | 生まれて始めて、ワシ類(オオワシ)に遭遇! »