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2008年4月13日 (日)

世界カタコト辞典(11) Mina rakastan sinua

Mina rakastan sinua (フィンランド語で「私はあなたを愛しています」の意味。Minaを省略して、Rakastan sinuaと言っても良い。主語を省略できるのがなんとなく日本語に近くてうれしい。「愛してるよ」という一層親しみやすい意味になるのだろうか)

彼女はAnneと言った。フィンランドからやってきた長い金髪を肩まで垂らした本当に青い目の優しい女の子だった。Finlandというけれど、お国の言葉ではSuomiというのだと教えてもらった。私の国も横文字系の人はJapanと呼ぶけれど我が国の言葉ではNipponというのだと教えてあげた。

フィンランド人は北欧人だと日本人は勝手に思っているけれど、他のゲルマン人系のデンマーク、ノルウェー、スウェーデンからは仲間はずれにされているらしい。お隣のロシアからも長い間いじめられていたから、日露戦争で日本がロシアに勝ったこともあって、トルコと並んで親日的な国らしい。ビールにトーゴービールがあるという。まだ、飲んだことはないのだが。

ハノーバーの工科大学で知り合ったのだが、ある日曜日市内のノミの市で彼女に偶然再会してから何となくお互い親しく話すようになった。冬季札幌オリンピック(もう36年も前の話だ!)のこと、黒澤明の映画と生け花が好きと彼女が言えば、フィンランド語とハンガリー語はウラル・アルタイ語属でモンゴル語や日本語と親戚なんだ、シベリウスのフィンランディアはとても好きだ、などと、私は応じ、彼女の耳に心地よい御託をならべたのだった。

1976年の夏のヨーロッパは記録的な猛暑だった。8月のある日曜日、Altstadtfestというお祭りがあった。ヨーロッパの町は昔は城壁で囲まれていて、その旧市街をAltstadtとドイツ語では言った。狭い路地、レストランとパブ、お店が並んでいた。ハノーバー工科大学に世界各国から集まった若者もみなでPeterのパブ「裸足」(Barfuss)に集まって盛り上がった。

いつの間にか私は彼女と二人きりになって腕を組んで歩いていた。お酒に酔い、周りもカップルだらけ、池のそばの芝生ではあちこちで若いカップル達の熱い抱擁が始まっていた。私たちもいつのまにか抱き合い、熱いキスを交わした。舌を絡ませたディープキスだ。レモンの味ではなかったが、今でもあの甘い香りと何とも言えない甘美な感覚を覚えている。私の手は彼女の胸をまさぐり・・・。長ーい長ーい抱擁と愛撫。

腕を組んで歩き、長ーい長ーい抱擁と愛撫。そしてまたその繰り返し。二人は若く、夜も若く、私の心も若くそして甘かった。 最終バスがなくなっちゃう。彼女をバス停まで送って、またバスが来るまで長ーい長ーい抱擁と愛撫。 お堅い彼女は下宿していた。大家さんが煩いからとバスに乗って帰っていった彼女。そして、私は長ーい長ーい間、一人でバス停にぼーっと立ち尽くしていた。勢いで押しかけて行くべきだったか・・・。

翌朝、Kolpinghaus(昔の徒弟制度で旅の遍歴をした独身の若者が宿泊した施設)でギリシャ人のヤニス君にばったりあった。意味ありげに笑って、「お前ら・・・・っつたのかぁ?」と。彼はスウェーデン人と仲良くなり、早くも肉体関係を持って、一部始終を我々にアケスケと語ってくれた。筋肉質のジゴロと言った風情の男だった。ヌーディストクラブ(FKK)でもよく遊んだが、彼の一物はでかかったが、見事な包茎だった。

翌々日、彼女は故郷に帰っていった。ヘルシンキからさらに列車に乗ってHyvinkaという町に住んでいるという。住所を教えあってしばらく文通が続いたが、いつしか、途絶えた。

その当時持っていた辞書だが、ボロボロになっているものの30年を経た今でも私は大事に保管している。そこには、彼女に教えてもらった愛の言葉が記されている。Mina rakastan sinua。我々が、本当にこの言葉通りだったかはちょっと疑わしい。しかし、黄ばんだボロボロの辞書の裏表紙の裏側に書かれた文字を見るたびに、30年以上も前のあの暑かった真夏の夜の夢が甦るのだ。

 

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