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2012年5月18日 (金)

Ken FollettのTriple

たまりにたまった本を整理しはじめることにした。何しろ中学校時代からの本が整理されずに残っているのだ。さすがに本の置き場に困り始めている。

 

整理しながら本を手にする。旺文社文庫、そう、もう絶版になっている旺文社文庫がある。

モンテクリスト伯爵

ジャン・クリストフ

野生の声

 

なつかしいなぁ。でも、ストーリーは大方忘れてしまった。でも、もう2度と読むことはないだろう。

 

創元社文庫だと、いまだに出版され続けているものがある。

グリーン家殺人事件

Yの悲劇

Xの悲劇

フランス白粉の謎

チャイナ橙の謎

ガーデン殺人事件

シャーロック・ホームズ冒険

シャーロック・ホームズの帰還

赤い館の秘密

 

推理小説が多い。これらももう再読することはないだろう。

 

Book Offに持って行ったが、段ボール2箱で500円にしかならなかったが、引き取ってくれるだけましである。

 

整理している中でケン・フォレッとのペーパーバック版が出てきた。1979年印刷となるから大学卒業直後のことだ。手にしてベッドにもぐりこんで読み始めたら目茶目茶おもしろい。先週末の軽井沢旅行にも持参して昨日朝読了した。

 

主人公は、ロンドンはイーストエンドの貧しいユダヤ人家庭に生まれ、第2次世界大戦では連合軍のイタリア作戦に参加、ドイツ軍の捕虜になり強制収容所で地獄の体験をするも生き延びて、戦後はイスラエルに移住、イスラエル諜報機関のスパイである。

時代は1968年前後のこと。戦後オックスフォード大学で主人公と出会った旧友が物語に絡んでくる。

Yassinはパレスチナ生まれのアラブ人で、ルクセンブルクの金融機関に勤めるがエジプトの諜報機関のエージェントである。

ロシア人のRostovは、KGBの諜報員として登場する。

物語は、エジプトがロシアの支援を受けつつ核施設を密かに作って核兵器を作ろうとする情報をキャッチしたイスラエルが自らの安全保障上の危機を乗り切るために、プルトニウムを手に入れる作戦を展開するところから始まる。

 

当時核兵器は、アメリカ・ソ連・英国・フランス・中国の5か国独占の状況であった。主人公はルクセンブルクにあるヨーロッパの原子力機関の職員から情報(ホモの職員を脅して核処理燃料の輸送データを入手)を得海上輸送される船を乗っ取りイスラエルに持ち帰るというプランである。

 

この計画を巡って、ルクセンブルクで偶然再会したYassin(エジプトの諜報員)とKGBRostovが阻止するために動き出す。彼ら3人の恩師でオックスフォード大学教授のイギリス人の妻の娘Suzaが主人公Dicksteinの恋人となる。彼女の母はヨルダン人、つまりアラブ系であり教授もアラブ寄りの人間である。

 

エジプトの諜報機関には、イスラエルのモサドにソ連・アラブ側の情報をリークするダブルエージェントがいたり、それを知っているKGBが偽情報を流したり、国益を巡る諜報員の活動を実態さながらに描いていてスリリングである。

 

モサドは主人公が恋に落ちたスーザがアラブ側の諜報員であると疑い、KGBもそのように彼女を扱ったが、冷徹なKGB諜報員のRostovは最後の最後で墓穴を掘ることになる。

 

手際よくジブラルタル海峡を過ぎた輸送船を乗っ取っろうとした主人公だが、Yassinの計らいで一足先乗っ取りに成功したパレスチナ解放戦線の一味と戦う羽目になり多大な犠牲を払って何とか確保する。

 

その船を抑えてイスラエルが秘密裏に核兵器を持とうという意図を世界に暴露して漁夫の利を得ようとするKGBRostovの目論見は最後の最後で頓挫する。Rostovの船に囚われの身となっていたスーザは、通報受けた主人公が単身船に乗り込んで来て救われる。

 

エンターテインメント小説だけにハッピーエンドではあるが、作者ケン・フォレッと氏の才気がいたるところで垣間見えるなかなかの出来だった。30年近く眠っていた本がやっと日の目を見た瞬間だった。

 

ところで、小説の最後のエピローグでパレスチナ問題の難しさをアラブ人政治家がたとえる話は示唆に富むものだった。

 

「パレスチナ問題は、イスラエルが核兵器を持ったことによって、永遠に解決しないだろう。アラブ側に核兵器はないのだ。パレスチナとはいわばイギリス連合王国のウェールズみたいなものだ。ウェールズ人(スコットランド人と同じくケルト人)は、1000年くらい前にアングロ・サクソン族に占領された被占領民族なのだ。1000年間彼らは屈辱に耐えてきた。出来ることというのは、最近もそうだが、警察署に爆弾を仕掛けることくらいだ。」

 

中東におけるイスラエルとパレスチナ問題に解決の糸口はない。パレスチナ人はウェールズ人のような運命を辿るのだろうか。

 

中東で現在唯一核兵器を持っていると思われるイスラエル。イスラエルはNPT に加盟していない。イランの核問題はイスラエルの存亡にかかわる安全保障問題なのだ。極東に住む平和ボケした日本人からは彼らの緊張感を理解することは不可能だろうか。

 

極東にも核問題はある。北朝鮮だ。北朝鮮は、核を持つことで金王朝政権と取り巻きの特権階層(軍人)の存続を図っている。現在五か国協議の枠組みで解決を図ろうとしているがようとしてその糸口は見えてこない。しかし、脅威の最前線にいる韓国はもちろん、日本には緊迫した脅威の実感がないのも事実である。何故なのだろうか。

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