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2012年9月23日 (日)

尖閣諸島問題雑感

尖閣問題で始まった今回の一連の動きだが、状況は日に日に悪くなっているようだ。

一連の流れの発端は、4月の石原東京都知事のアメリカでの発言、つまり、東京都が現在個人所有者(持っている人は結局国民の税金20億円を手にすることになった!!)から購入する意向を表明したところから始まっていると思う。

次の一手は中国側が打った。香港の活動家(尖閣問題で飯を食っている政治団体)の船が尖閣諸島に上陸したことだ。日本側は2年前の教訓から自民党政権時代と同じ手法で処理した。

中国政府は尖閣諸島行きの船を通常は取り締まっているのに、今回は黙認した。石原都知事の姿勢に突き動かされて、民主党政権は国有化に踏み切ったが、これが中国政府の逆鱗に触れた。憶測では、中国共産党のスキャンダル(解任されたもと重慶市長の奥さんが殺人事件を起こした)と中国共産党の権力交代(胡錦濤主席→習近平氏)に絡むゴタゴタから国民の目をそらすための画策らしい。反日デモに参加している若者にはデモ隊参加費用をもらっている人がいるという。国の指導で演出されているのだ。煽りそして抑制する。

私自身は、当然ながら日本人が認識する歴史を振り返れば尖閣諸島は日本の領土だと思う。太平洋戦争で負けて、沖縄は一時アメリカ政府の施政下にあったが、1972年の沖縄返還の際に返還された。尖閣諸島は沖縄県に所属しているので一緒に返還されたということだ。沖縄は、明治維新後、日本の領土となった(琉球処分)。日本人の歴史意識の感覚では、1868年の明治維新から始まっている近代世界の秩序、つまり、西洋列強が築き上げた世界秩序(国際法)をベースに考えている。

中国の主張の根拠は、明の時代の歴史書に尖閣諸島(魚釣島)の記述があることがベースになっているが、これは古代以来の中華帝国の発想である。そして、主張している主体の中華人民共和国は1949年に内戦の勝利から生まれた共産党政権であり、それまでの100年の歴史は西洋列強、特に日本帝国主義によって踏みにじられた屈辱の歴史であると認識している。

彼らにとっては、その屈辱を晴らす、ということが発想の根底にある。 そして、彼らがやっていることは、、清朝の版図を復元しようとする「遅れてやってきた21世紀の時代錯誤的帝国主義」ということになるだろう。 

彼らは、被害者意識が強く、自分たちのこれまでの歴史がほとんど帝国主義的だったという認識が欠けている。 確かに、欧米の帝国主義に比べれば、侵略的ではないが、現在の中国の版図になるまでには、長い時間をかけて、黄河中流域が周辺の未開人を飲み込んで勢力を拡大したのだから、基本的に帝国主義的だ。

清朝の版図=中国という発想自体が間違っている。彼らにそれが理解出来ない。 いわゆる「中華思想」といいうのがあまりにも彼らの無意識の前提となっているからだ。ちょうど、アメリカ人が「民主主義と資本主義とキリスト教」は絶対的な「善」であり、人類にとっての「福音」であると深く信じていいるように。

20世紀初頭に清朝が崩壊したとき、モンゴルもチベットも清朝から離脱した。これは、どういうことかというと、清朝とは、満州王朝(女真族)が中国(万里の長城以南)の皇帝になると同時に、モンゴルに対してはハーン(部族長)として君臨し、チベットに対しては仏教の保護者として君臨したことであって、清朝は、中国を植民地にしたものの、モンゴルやチベットは、中国の一部になったのではなく、満州族の支配者の庇護をうけたということだ。清朝が崩壊したのだから、離脱するのは自然なことだった。

清朝の支配形態は、「同君連合」といって、イングランドの王様が、スコットランドやウェールズ、北アイルランドの王様を兼ねているということと同じである。あるいは、もっと適切な比喩は、ハプスブルク帝国だろう。スイスの田舎出身の貴族が、成りあがってオーストラリアの皇帝となり、現在の東欧諸国の王様を兼ねて君臨したのと状況は似ている。ハプスブルク帝国は第一次世界大戦の敗戦とともに崩壊した。

中華人民共和国がやろうとしているのは、現在のオーストリアが、ハプスブルク帝国を再興しようとしているのに等しい。

中国は覇権を唱えない、などと嘯いているが、それは現状ではアメリカ合衆国に全てにおいて劣性に立っているからだ。 太平洋はアメリカの覇権と庇護のもと、航海の自由という原則が確立され日本は繁栄してきたという事実を忘れてはならないと思う。

私個人の見解では、いかに、アメリカがときには日本に不合理なことを仕掛けて愉快な国であったとしても(太平洋戦争敗戦までは特にそうだった)、中国に比べればずっとましな国だということを頭の中に叩き込んでおかないといけないだろうと思う。本当はどっちもいやだが、消去法でアメリカなのだ。

ニューヨークタイムズに中国人の富豪が個人で意見広告を出したそうだが、その中に、「アメリカ合衆国がもし、日本から真珠湾は日本の領土だと言われたらどう思うか」と述べ中国の正当性を主張しているという。広告では、アメリカの新聞社が真珠湾という言葉をハワイに変更したらしい。

ハワイは誰のものか。本当はハワイ人のものだった。かつてハワイ王朝というのがあった。19世世紀末にアメリカに併合されてアメリカのものにされたという事実をその中国人は知らなかったようだ。

ハワイ王朝は、日本の明治天皇助けを求めたこともあるそうだ。ハワイ人はその当時悲哀を感じただろうが、豊かなアメリカ文明の恩恵に浴し、今ではアメリカから分離独立しようなどと画策して騒ぐ人もいないし、アメリカ人であることをむしろ誇りにしているように見える。 中国における新彊ウィグル自治区やチベットなどと状況は大違いである。中国人の自己文明に対する自負は病的である。

紀元前の漢から8世紀の唐までの中国はすごかった。しかし、それ以降は下降の歴史、沈滞したままだ。台湾の著名な学者(2年前に死去)柏陽氏は「みにくい中国人」の中で、中国人が世界に誇れるのは中国料理しかない、と断じている。

結局アメリカ合衆国の国防長官が中国に足を運び、尖閣諸島は日米安保条約の対象、と明言したことによって、中国の軍事力行使はなくなった。その結果が、「経済制裁」ということになる。「経済制裁」は、軍事力行使が出来ない中国の日本に対する「経済戦争」と言え
ると思う。今後状況がどうなるのか、中国内部の権力闘争に大きく左右されるだろう。

日本の経済界にとっては大きな打撃かも知れない。中国はいまや日本にとって最大の貿易相手国だ。しかし、中国への輸出が占める日本のGDPに占める比率は相対的に小さいらしい。メーカーはとっくに日本を見捨てているのだ。 自国民保護ということから、あのような暴動が起きたら、それを守るのは日本政府の義務だ。しかし、現状では中国政府の嫌がらせ(デモを煽り、略奪を黙認している)に対する対抗手段を持っていない。

いかに、中国が不愉快でも日本は毅然として耐え忍ぶしかないだろう。あるいは、経済制裁が長期化し、中国が日本を脅し続けるならば、日本は憲法改正・核武装に転じる選択肢を取ることにならざるを得ないだろう。 究極の外交カードはこれしかない。

また、日本の領有権主張の正当性と中国の主張が不合理なものであるか、そして、やくざまがいの手法で日本を脅しにかかっている下品さ(すでに世界は中国の傍若無人ぶりに辟易しているようであるが)を、を世界に広めることが大事だろう。その点、外交が極端に下手くそな日本がどこまで出来るのか不安を感じるのは私だけだろうか。

今から100年前ならとっくに戦争になっていた。 しかし、現在では、戦争はハイテク化し多大な犠牲がでることが分かっているのでそう簡単に戦争は出来ない。 そもそも尖閣諸島にそれだけの価値があるのだろうか。 「無い」と言う人もいる。 しかし、1970年以前の中国共産党では、尖閣諸島は日本の領土と認識していたという事実がある一方、1960年代に国連が行った調査で、尖閣諸島付近の海底に石油資源がある、ということがわかり、中華人民共和国および台湾は領有権を主張し始めたというのが時系列で言う紛争の始まりである。

当面は、日中間での「神経戦」が続くだろう。日本にとってはこれまでにない試練になるかも知れないが、中国の不当な圧力には屈すべきではなく、中国の出鱈目ぶりを世界に辛抱強く訴え、毅然としていることが大事だと思う。 

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