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2019年8月 1日 (木)

「人種差別発言」も「朝鮮半島外交」も大統領の選挙対策? ガザミを釣り上げる。

8月1日(木)晴

トランプさんがまた「人種差別」発言(バルチモア市の黒人地区と著名な黒人指導者に対する揶揄)で騒ぎを興している。騒ぐのはマスコミや今やマスコミ以上に影響力を持つSNSである。トランプさんの支持基盤は行き過ぎたグローバリゼーションで凋落したアメリカ製造業を担っていた白人中間層である。行き過ぎた「ポリティカル・コレクトネス」に対する不満に対するリップサービスである。トランプさんが好んで見るのはCNNニュース。リベラルが売り物のニューヨークタイムズなんかは鼻からフェイクニュースとして相手にしない。リベラルで左翼的なニューヨーク・タイムスの日本版が朝日新聞だ。朝日新聞の反安倍報道は、中国・北朝鮮を支持する報道を戦後一貫して取り続けた朝日新聞の立場からすれば当然である。

アメリカではかろうじて白人層はまだ多数派を維持はしている。同じ白人層とはいっても南米系、アメリカではヒスパニックというが、カウントされない。トランプさんのこれらヒスパニック系やイスラム系の移民の議員への「口撃」は、来年の大統領選挙対策にある、とはよく見るBS放送のキャスターの解説。金正恩との親密な関係?を演じるのも選挙対策のひとつらしい。

トランプさんは攻撃的で挑発的な人だ。が、アホではない。選挙対策ブレーンに「相対的に経済的地位が低下して不満を持つ多くの白人中間層」の票を獲得するための戦略に従って行動しているようである。昨年の中間選挙では共和党は敗北、下院では民主党が多数派となった。ちょうど、今、民主党では来年の大統領選挙に向けた候補者選びをやっている最中である。アメリカでは、大統領になるよりも大統領候補になるほうが難しい、という言い方があるそうだ。バイデン元副大統領が有力候補らしいが、人種問題で過去に問題があるらしく、第一回の大会では女性のリベラル議員からそうとう批判されて支持率を落としたそうだ。トランプさんにとってバイデン氏(民主党の中では温厚な中道派)が民主党の大統領候補になると一番困ると考えいるのではないか。トランプさんの挑発は、民主党内の意見を分裂させるのが目的らしい、という解説もあった。

米中貿易戦争も、なかなか進展しないが、中国ははやくも来年の大統領選挙でトランプ氏が落選するものとして(中国はいまも精力的に全世界で親中派作りの政治・文化・経済等の様々な工作を行っているが、ウォール街との太いパイプを通しての民主党支援)、待ちの姿勢に転じたからだという。トランプさんは、それを敏感に感じ取って「私が再選されれば、対中政策はいまよりもっと厳しくなるであろう」とジャブを打つコメントを出している。

中国の弱点は、崩壊したソ連と同じ道を歩もうとしている点だ。ロシア革命と共産ソ連の成立は、グローバリズムの流れで支持を得ていた出来事だったが、スターリンの一国社会主義(これは、プーチンさんの「大ロシア主義」=ロシアのナショナリズムに継承される)への政策転換で潰された。現在、アメリカが仕掛けているのは、「中国潰し」ではない。「中国共産党潰し」である。共産主義イデオロギーそのものがすでに死んでいる現在(ソ連崩壊とともに終わった)、中国の生き残る唯一の道は、「中国共産党」自身が変わることだ。伝統と文化が違うから英米型やドイツ、フランスなどのヨーロッパ型の民主主義と同じとは言わずとも、アジアには民主主義国家が徐々に増えている(日本、韓国、台湾やアセアン諸国)。これらの国々の民主主義と自由尊重のレベルは必ずしも欧米や口やかましい世界のリベラルな人達がいうほどにはなっていないかも知れないが、それでも中国やいわんや北朝鮮よりは全然ましである。香港での騒ぎがオーストラリアやニュージーランドにも拡散しているという。オーストラリアの大学キャンパスでは、中国本土系以外の華僑の子弟の学生が香港支持の集会を開こうとしたら本土系の中国人留学生と衝突して怪我人がでたらしい。オーストラリアだけで中国本土からの留学生は何と20万である。

https://www.bbc.com/news/world-australia-49159820

オーストラリアの大学も「孔子学院」の見直しを始めたらしい。孔子学院は、中国政府の教育方面におけるプロパガンダ機関だということにようやく気が付き始めたのだろう。アメリカでもシカゴ大学やペンシルバニア大学などの名門校が次々と学問の自由を脅かす危険な存在として契約を打ち切った。

オーストラリアでは、台湾の扱いをめぐって中国人留学生が授業をボイコットしたり政治問題にまで発展している。台湾は中国の領土、というのは建前ではそうだが、実態は別の国である。講師の見解が中国政府の立場を否定するものであったとしても、そこは「学問」の世界である。いかなる解釈であれ人は自由に表明することができる、というのが自由主義社会の原則である。それを否定する行動を、いけずうずうしく外国でやらかすのが中国人の「愛国精神の発揮」らしいが、このような数の優位で地元の人たちの神経を逆なでする行動を当然のごとく思って行動する本土人に憂慮する人は増加の一途を辿っている。香港のデモをもし天安門のような弾圧でおさえたらどうなるか。中国政府はおそろしくてできないであろうが。

閑話休題。

涼しい6月から7月にかけての長い梅雨もあってかおもうような釣果が出ない。那珂川での手長エビ釣りはその後2度やったが4尾、5尾で数が延びなかった。

Tenaga

Tenaga3_20190801101901

それで、涸沼川に出かけてみたが、

Hinumagawa-2

第一投では手長エビが釣れたけど、

Hinuma-tenaga

後が続かずそのかわりに大型のヒネハゼ(年越しの2年物)が釣れたのでヒネハゼ狙いの穴釣りに切り替えた。が、こちらも毎回4尾、5尾どまり。

Hinehaze

昨日は、久方ぶりに那珂湊漁港に出かけた。14時前から約2時間。シロギス4尾(1尾は誤って護岸に落とす)、ガザミ(ワタリガニ)1杯、イシモチ1尾(25㌢)の釣果を得た。やっぱり5尾、6尾だった。まあ、ボウズではなく釣れることは釣れたのだから良しとしないといけないのだが。

Watarigani

<手長エビとハゼの素揚げ> ビールのつまみにぴったり!

Haze-tenaga-suage

2019年7月31日 (水)

悪化する日韓関係に一言

7月30日(火)晴

ようやく夏らしくなってきた。ニイニイゼミが鳴き始めたのが1週間ほど前。遠くの雑木林からはかすかながらヒグラシの声も。昨日、今日と単発だがアブラゼミやミンミンゼミの声も聞こえた。気温もようやく30度を超えた。

Yちゃん親子は昨日無事帰国した。金曜日夕刻便で深夜に出発、実質的には土曜日と日曜日の丸二日間、月曜の朝便で帰国の途に。二人で15万円。ファーストクラスのホテル、観光一日半、朝食と昼食2回、夕食一回(ショー付き)、空港送迎ありとまあ至れり尽くせりなのだからまあ安い。楽しかったらしいが、疲れたとも。LCCとインターネットでホテル予約をすればもっと安いはずだが、母娘の二人旅。某大手の格安パッケージなら送迎や現地ガイドもいて安心である。

日韓関係は負のスパイラルでずるずると悪化の一途。以前のブログでもどこかで感想を書いたかもしれないけれど、日本と朝鮮半島の関係は日清戦争より前の状況に戻りつつあるようだ。中国の復活により朝鮮半島は自らの遺伝子(中国の属国=朝貢関係)が再び目覚めたのだ。地政学的な意味で「深縦」がない朝鮮半島は、隣接する大陸の大国になびかないと生きていけない。逆らえば13世紀の元の時代のように飲み込まれてしまう(亡国)。

ロシアのように敵を深く国土に引き込み「過酷な冬」と「広大な平原」という自然条件を生かした反撃で敵を打ち負かす戦略はとれないし、アフガニスタンのような山岳地帯に籠城したり、ベトナムのようなジャングルを隠れ蓑にゲリラ戦を展開することもできない。ベトナムと言えばアメリカを打ち破ったわけだが、13世紀モンゴル帝国の「元」(中国)も、結局ベトナム侵略は失敗に終わったのとは好対照である。朝鮮戦争、アメリカでは「忘れられた戦争」と言われているらしいが、南北は分かれたままで「停戦」状態なのだ。いつ、また、戦争が復活してもおかしくない状況が75年近くも続いている。

清朝が弱体して崩壊する前後では、ロシアが大きな野望をもって進出したが、それを自国への脅威と認識した日本は、アングロサクソンの後ろ盾のもとにその野望を挫いた。朝鮮半島の対応は、清朝派(日清戦争後は、ロシア派)と親日派に分裂した。小国といっては失礼(南北合わせれば、人口8000万=ドイツと同じ規模)なのだが、隣にはが人口10億をはるかに超える中国であり、人口減少に悩むロシアも日本も1億を超える国なのだ。隣国はすべて存在自体が彼らにとって「脅威」なのである。

冷戦崩壊後、東独が自然に解消して西独にのみこまれていく過程が、朝鮮半島では何故おこらなかったか。北朝鮮が直接に中国やソ連と国境を接しているのにいるのに対し、東独の向こうはポーランドであり、さらにその向こうはウクライナ(冷戦崩壊後にここも独立)であったからだ。朝鮮半島は、東西の大国が直接国境を接する「緩衝地帯」だからそれぞれの力が作用して統一できないのだ。

独立したウクライナは、NATOに入りを視野にいれた西側寄りの政権の失政によって、東半分(例のクリミア半島)はロシアに再び併合されてしまった。経済制裁を受けながらもロシアは譲歩する気配はない。朝鮮半島は、極東の「ウクライナ」である。あるいは、国際関係論でしばしばいわれる「フィンランド化」が当てはまる地域だ。フィンランドは「自由主義経済と民主主義」を許されつつ、一方で実質的にロシアの一部としての役割りを演じている。フィンランドは、ソ連から侵略され戦った経緯から、第二次大戦中はナチスドイツとともにソ連に侵攻した国だ。

朝鮮半島南北統一は、「アメリカ+日本」勢力がと「中国+ロシア」勢力と極東で対峙する限り不可能である。核廃棄が不透明なまま、南北統一国家が出現することは、対峙する国々の誰も望んでいない。西側からすると、過去に、しかも、停戦後にいろいろ引き起こしたテロ事件や自国内の過酷で人権抑圧をしている北朝鮮の金一族が政権に居続けることに対して、拒否感がある。清算された上で、つまり、非核化と集団指導体制(ベトナムのような)がなされれば、ベトナムのような西側資本の投下が可能だろう。南北統一は、弱体化していると揶揄されるながらもまだまだ「アメリカ世界帝国」が健在な間は無理だ。中国やロシアからすれば、南北統一がなされれば経済力から言っても南が北を飲み込むことは明白だから(金を出すのは日本)、これは、アメリカの勢力圏と直接国境を接することになるので絶対に受け入れられない。それ以前の問題として、現状の南北がどういう形で統一されるのだろうか?余りにも違いすぎる体制。東ドイツのように北が自然に崩壊して韓国に融合するのか(金さんは黙っていないだろう)。それとも、ルーマニアのように怒ったが人民が金一族を処刑するのだろうか。金一族はだれが何を言おうと負の遺産を背負いすぎている。北朝鮮がほしいのは、韓国の体制ではなく、技術とマネーだ。所詮、水と油の体質をもつ南北朝鮮半島の現状では、民族的統一とは美しい言葉だが、無理なのだ。ドイツ語圏のスイス、オーストリア、ドイツがそれぞれ別の国であるように、同じオランダ語を話すベルギーのフラマン地方がオランダではなくベルギーという国家を選択したように、一つの国にまとまる必要はない。唯一可能な解決策は、朝鮮半島が「フィンランド化」するしかない。あるいは、今現在進行形中で結果がまだはっきりしない「ウクライナ化」。

現在の韓国(文政権という革新政権=左翼)と日本(安倍政権という保守政権=右翼)の小競り合いが、北朝鮮を利するようなことにならないことを祈るだけである。正直なところ、韓国の幼稚な論理(失礼な言い方を承知で言う)には辟易させられる。戦前の日本は、伊藤博文の暗殺後に、朝鮮半島を併合してしなった。単細胞の日本人は力でねじ伏せてしまったが、戦後は、さすがにそれはやらない(憲法上もできない)。代わりにアメリカが賢く駐留軍を置いて睨みを利かせている。自ら「戦勝国」と任じる倒錯した歴史認識をする彼ら。歴史的事実は、日本国臣民として(差別はされた朝鮮系)いっしょに戦った敗戦国民である。認めたくなくても、まずはこの事実から始まらないことには、両国の歴史認識が共通の土台を築くのは不可能である。

中国の戦勝軍事パレードに出席したのはいま裁判で有罪判決を受けた朴正煕の娘だ(お父さんの朴正煕政権時代に日韓基本条約は締結された)。中国共産党の軍事パレード自体が事実に反する、とは同国人自身が、公然とではないが、様々のSNSネットワークで、匿名で自虐的に批判している。「歴史認識」の問題は、近現代史と直結しているので、解決は難しい。正統な歴史学が権威ある解釈を示すことすら不可能である。肝心な資料がまだまだ非公開のままだ。「歴史認識問題」はもっぱら、政治的プロパガンダ合戦である。

それとも、資本の論理(常に、利潤をもとめてやまないマネーのロジック)は、ファウストではないが「悪魔」との取引をあえて辞さず、あのキッシンジャー氏が仕掛けた衝撃の「米中国交回復」のミニ番を近い将来に実施するのだろうか・・・。

2019年7月18日 (木)

グローバリズムとナショナリズムの相克。つれずれなるままに、もの思い・・・

7月18日(木)曇り

ビーバーの「第二次大戦」は三分の二ほど読了して休憩中だ。今朝は、ヨーロッパの移民問題に警鐘をならした本The Strange Death of  Europeをぱらぱらと読んだ。ヨーロッパでの移民問題とは基本的にはイスラム圏からの移民のことである。この移民の流れはは新自由主義が謳歌を始めた1990年代からとくに勢いを増し、中近東=ほとんどがイスラム圏の政情不安で大量移民が発生し、人々はヨーロッパや北米に百万を超える単位で移民している。民族の大移動である。

米国のトランプ大統領がまたまた騒ぎを興している。レイシスト騒ぎ。対象となったのはいずれも民主党のプエルトリコ系やシリア系の移民(有色、イスラム)などの下院議員。ソマリア出身のオマルさんは、イスラエル嫌い。トランプさんのメキシコ国境の移民の扱いへの批判者だ。直接名指したわけではないが、トランプさんはツイッターで、こういう人たちは破綻した犯罪国家からアメリカにやって来ているが、正義面をして米国政府を批判をするのはやめろ、ぐたぐた言うなら、自分の国に帰れ、という言辞を弄した。

リベラルのマスコミはさっそく飛びついて連日のようにトランプ批判をしている。イギリスのメイ首相も苦言を呈した。カナダの首相の直接の批判ではないが、カナダはトランプさんの言辞に組しない、と表明した。トランプさんの腰ぎんちゃくと揶揄される安倍さんは沈黙のままだ。腰が定まらない韓国にしびれを切らして制裁発動したりで、国政選挙対策で頭が一杯なのだろうか。

アメリカという「国体」はもはやWASPの国ではなくなってしまったというアメリカの伝統的な白人層(20世紀の移民ではなく、19世紀以前の移民でプロテスタント系)の怒りが2016年の大統領でまさかのトランプ大統領選出となった。マスコミの予想と真逆。マスコミは、リベラルのスタンスを取るところが多い。そして、それはユダヤ思想の別名である。人権、平等、正義。聞こえはいいのだが、本音の部分でこれらポリティカル・コレクトネスに本音でうんざりしている人は意外に多いのだ。日本のマスコミもそうだ。安倍批判がかまびすしいにもかかわらず、結局安倍政権は長期政権になっているのは事実だ。自分たちが間違っているということに考えが及ばないのだ。物事にはかならず2面があるようにリベラリズムも問題があるということ。

トランプ現象は、イギリスのブレグジットと同じで、地球全体で席巻の度合いを増しているグローバリズムへの反動である。グローバリズムとナショナリズムの相克。19世紀後半から20世紀前半にかけては、社会主義(共産主義)=グローバリズムの一つの形態とナショナリズムの相克が二つの大戦を招き、その余波は冷戦となって20世紀末まで続いた。

グローバリズムというのはユダヤ思想の実践であると聞いたことがある。第二次大戦後のパレスチナという聖書の聖地にイスラエルというユダヤ人の国家が2000年を超えて再建国!?されたにもかかわらず、多くのユダヤ人は帰国しなかった。誰がユダヤ人なのか、というのは難しい問題だが、すくなくとも2種類のユダヤ人がいることは確かだ。祖国があるにもかかわらず異邦人として異国のなかで生きる道を選んだ人たちと、今や、イスラエル国民となりヘブライ語を話し、イスラエル人としてのナショナリズムを奉じている人々だ。ディアスポラ(流浪)のユダヤ人とイスラエル人とは希求するものが違うのだ。ジョージ・ミケシュのちょっとふるいけれど1970年前後のイスラエル旅行のルポルタージュでも、イスラエルでは、東欧独特の自虐的なユーモアは胡散霧消したとあった。

アメリカの孤立主義が積極的な介入主義に転換したのは、1913年に連邦準備制度(中央銀行)が設立されてかららしい。驚くべきことは、このアメリカの中央銀行はアメリカという国=国営の銀行ではなく、民間銀行(ユダヤ勢力が有力)連合による組織(ロンドンのシティとニューヨークのウォール街)なのだという。このひな形は、ヨーロッパの封建時代に王室の金庫番(キリスト教はお金を卑賤なものと考えていた)として出入りしていたユダヤ人金融家の拡大版である。

戦争をする財源は、基本的に国民の税金である(昔は王様のポケットマネーだったから、戦争は限定戦争で、兵士を大事にした。兵士を消耗品として無慈悲に扱うようになったのはナポレオンが作った徴兵による国民皆兵ができてから)。戦争をするためにはお金が必要だ。日露戦争のころの日本は貧乏でロシアと戦争するのに当時の金融の中心であったロンドンのシティで資金調達をしたがシティは冷たかった(有力銀行のロスチャイルド勢はロシアのバクー油田の利権があった)。日本の戦争債を買ってくれたのはクーン・ローブ商会のシフ(2007年のリーマンショックで倒産)でロスチャイルドのアメリカのパートナーだったウォール街の金融家(ドイツ系のユダヤ人)だった。本質は、国際金融資本が両方に投資してリスクヘッジをしたのだった。

国際金融資本は、本質的に国籍がない。連邦準備制度とは、国際金融資本のアメリカ乗っ取りであった。アメリカが戦争をするたびに戦争国債が発行されるが、ドルを供給するのはプライベートな国際金融資本である。貸し倒れはない(アメリカが崩壊する以外は。崩壊したとしても、必ず逆張りをしているからすっかんぴんにはならない)。担保が税金であるのだからこんな楽な商売はない。

第二次世界大戦中、何故、共産ソ連と英米が手を組んだか。共産主義とはグローバルな思想であり、ユダヤ思想そのもの(マルクスはユダヤ人、ロシア革命も実質的にはユダヤ人が起こした革命で、ロシアの大地を愚直にたくましく生きるロシア人農夫とは無縁なものだった)であり、国際金融資本にとってソ連と手を組むことは問題にならなかった。第二次大戦直前のアメリカの国内は、非介入派と介入派に割れていたが非介入派が圧倒的だった。介入派=グローバル派=国際金融資本の論理で動く政治勢力であった。20世紀前半のアメリカとは、少数派であった介入派が多数派の非介入派であったアメリカをグローバル化=非WASP化する過程であった。ソ連との提携は介入派からすればごく自然なことであった。こう理解しないと、何故にルーズベルトはあれほどまでにナイーブにスターリンと仲良し関係を維持したのかが理解できない。ベルサイユを主導したウィルソンも4選を果たしたルーズベルトも取り巻きのブレーンたちは社会主義者であった。戦後、冷戦になったのは、スターリンが一国社会主義=ナショナリズムを選択したからだった。つまり、グローバリズムを否定したからスターリンが敷いた一国社会主義のソ連は結局潰された。

マネーというのは魔物である。人間の進化の本質にかかわるものではないか。世界でおこる出来事には金融資本の動きが深く関わっている。ひとことで言えば、私的所有の自由と私的利潤追求が人間活動のダイナミズムを生み出す。マネーがマネーを生み出す錬金術。信用の創造。人はマネーの魔力に囚われるのだ。人類という集団(下位には民族とか部族とかいろいろあるだろうが)を動かす本質的な何者かである。

ここで、いきなり、ドイツの哲学者(意志と表象の世界、という著書で有名)ショーペンハウアーの言葉をひくと:

Ein Mensch kann zwar tun, was er will, aber nicht wollen, was er will

A man can surely do what he wills to do, but cannot determine what he wills.

人間は自分が欲することを成すことは確かにできる。しかし、自分が何を欲するかを決めることは出きない。

盲目の意志につきうごかされる人類。

いわゆる陰謀論がいうような金融資本家が世界史的な事件を仕組んでいるのではないだろう。金融資本家は、マネーの論理で動いているだけというか、状況設定はしている。そして、相場を張る。政治状況、とくに、戦乱は、連中にとっては一番のチャンスだ。リスクが大きいほど利潤も大きい。そして、逆張りもする。近代の歴史(西洋が中心となって作り上げてきた近代資本主義世界)はマネーのゲームが加速度的に地球全体を覆う過程であった。グローバリゼーションとはこのことだ。近代資本主義=西洋文明のもうひとつの粋はテクノロジーだ。しかし、マネーなくしてテクノロジーはない。

マネーの論理につき動かされた人類の興亡がすなわち歴史である。目下、マネーを支配している国際金融資本の拠点はロンドンのシティーとニューヨークのウォール街である。いずれもアングロサクソンの国金融都市だ。アングロサクソンが覇権を握ったというより、国際金融資本、すなわち、ディアスポラのユダヤ人をうまく利用したことがアングロサクソンの繁栄をもたらしたということだろう。日本に反ユダヤ主義はないけれど、ユダヤの本質を見誤ったというかまったく理解していなかったことが、20世紀前半で自らの破局を招く原因となったのではなかったか。

マネーの論理は、ソ連に見切りをつけた後、極東の中国大陸でウォール街が中国共産党と結託して現代中国を作った。そして、投下資本からたっぷりと利益を得た国際金融資本にとって、どうやら、中国はすでに用済みになりつつあり、マネーは次の利潤をうむ投資先を探しているらしい。北朝鮮は、そんなポテンシャルを備えた一つの候補らしい。現状では二束三文の価値しかないが、韓国という片割れと合体すれば安い労働力と高い教育レベルでたちまち爆発的な経済成長が見込める、ということだ。

馬渕睦夫氏(もと外務省官僚、ウクライナ大使)によると、最近の北朝鮮とアメリカの接近は、国際金融資本の意志によって実現したものだという。そう言えば、米国人の投資家ジム・ロジャースは本国を引き払い、現在はシンガポールに拠点を構え、ハノイでの米朝会談前に日本語で本を出したが、次の有力は投資先は北朝鮮だと宣言していた。

マネーを媒介に、利潤を最大にすべく金融資本家が暗躍=状況設定するなか、様々の立場の様々の人々が必ずしも合理的には行動するとは限らない不確定要素を持ってドラマを繰り広げるているのが日々の現実ということだろう。

トランプさんだが、彼は根っからのビジネスマンだ。不動産業の。彼に、文明史的な教養と歴史観があるとは思えない。もちろん、取り巻きの専門家アドバイザーはいるけれど、内容はあまり理解しないらしい(読まない)し尊重しているようにも見えない。アメリカよ、どこへ行く、である。

 

 

2019年7月 2日 (火)

トランプ氏、38度線を超える!

7月1日(月)雨のち曇り

トランプさんが北朝鮮の金さんと電撃ミーティングを挙行。世界はあっけにとられた。非核化交渉を再開することで合意したということらしいが胡散臭いと思うのは私だけだろうか。去年のシンガポール(6月、私は左足でどん底の気分だった)から今年2月末のベトナムまでは、何かが起きそうだという期待感があったが、結局第二回会談は破局に終わった。核の完全廃棄の意味するところが明確にならないまま、事が進むはずがない。北朝鮮は、完全核廃棄をする意思表示をすることで、トランプさんの国内事情の弱みに付込んで、核を保持したまま制裁解除をしようとしたのだったがトランプさんもそこまでおバカさんではなかった。

それでも、トランプ流のトップ会談で物事を決めて動かすという自分流のビジネス交渉スタイルは健在である。今回のトランプさんの会談は、彼流の主として国内向け(来年の選挙対策)かつ世界に向けてパフォーマンス、トランプ劇場の再現だろう。中味はほとんどないような気がする。アメリカ、中国、ソ連のそれぞれの立場と思惑が交錯する中、金さんはそれぞれに歩み寄り(韓国と日本は蚊帳の外、単なる、お金を貢いでくれる対象としてか思っていないようだが、仕方がない。両国には国際政治の現状を変える「政治力」はないのだから)おいしいところとりをしたい、とチャンスを狙っているようだ。そもそもの制裁のイニシアティブはアメリカにあるのだからやっぱりアメリカがカギであることはよくわかっている。

現実には、しかしながら、交渉再開するとして、何ら両者のスタンスが変わることはないだろう。日本にとっては、トランプさんが軽々しく行った短距離ミサイルはどうでもいい、というのはちょっと待てよ!である。あんただけが世界を背負っているわけではないぜ、である。安保無用論も彼個人の昔からの持論らしいが、この人の言動は、これまでの歴史的経緯をかなりというか全く蔑ろにしているのか、あぶなっかしい。

以下BBCにあったある記事の一部:

The images were mesmerising, but to what end? Donald Trump's unorthodox diplomacy has certainly reduced tensions on the Korean peninsula, but it has not stopped North Korea from continuing to expand its nuclear arsenal.

(目がくらくらするほどの二人のシーンだったが、そもそも何のためか?トランプ氏の型破りな外交はある意味朝鮮半島の緊張を緩和しているだろうが、北朝鮮の核兵器庫は拡大し続けている。)

This relationship has produced smiles and handshakes but not the denuclearisation of the Korean Peninsula. Donald Trump's visit to North Korea lasted just over a minute - more than enough time, his critics will say, to legitimise a totalitarian regime with one of the worst human rights records on the planet.

(二人の現時点での関係が笑顔と握手を演出したとしても、朝鮮半島の非核化を実現するものではない。トランプ氏が北朝鮮に1分以上(これだけでも十分すぎる)訪問したことは、この地球で最悪の人権蹂躙記録を有する全体主義政権を合法化するものだ、と批判者たちは言うであろう。)

正鵠を得た批判だと思う。冷戦の化石のような負の残余物である北朝鮮。核を抱いてサバイバルを計る金王朝一族とその取り巻きのために世界はまだまだ振り回されそうである。こんな国を(冷戦が終わるまで)「理想の国」としして日本の戦後左翼リベラル(朝日新聞等)は賛美しつづけていたのだし、若き日の自分もすなおにそれを信じていた(理想の社会主義国家=北朝鮮;右翼反動=韓国)のだったが、今では遠い過去のことであり、人間は時代の環境でいとも簡単に「政治の嘘」を信じてしまうものだということを苦々しく思うだけである。

それにしてもトランプさん、就任以来、精力的に物議をかもしながらしぶとく頑張っている。何といってもアメリカの動きは世界全体をゆるがすマグニチュードを持っているのだから、プラスの方向に寄与してほしいと思うだけだ。

今日は、Yちゃんのお母さんの誕生日。お祝いのメッセージを送る。私より一回り若い世代だが同じ干支である。午前中は雨だったが、午後は止んだ。那珂湊に魚の買い出しにでかけたついでに1時間半ほど竿を出した。大潮。上げ7分から8分。期待したが、海からはの反応はなし。一度だけ大きなアタリが来た(たぶん、イシモチ)がすっぽ抜け。シロギスを狙った7号針ではどうしようもなかった。あえなく撃沈。トホホ。

2019年2月14日 (木)

相変わらず騒がしい朝鮮半島

2月13日(水) 曇り
5時半過ぎの目覚め。ゲーテを読み続ける。寒く、そして、外はどんよりと陰鬱な曇り空。一日置きで晴と曇りが交代する。

6時過ぎ、今日もアカハラの声を聞いた。7時10分前、キッチンへ。朝食の準備。

昨年のアジア大会で金メダル6個を取った女子水泳のホープ池江選手、白血病と診断されたというショッキングなニュースが流れる。18歳にして死に至る病におかされるとは、何という無慈悲な運命。命を長らえる可能性はあるとのことだが・・・。言葉が出ない。

朝食: ミネストローネ、牛肉コロッケとチーズ入り笹かまぼこ、ポテトサラダ、ご飯少々。

9時前、いつもより早く父はデイケアーの迎えが来て出かけて行った。2階に上がって一日のルーティンであるニュースチェック。

埼玉で時価1千万円を超える盆栽(400歳)が盗難にあったらしい。埼玉に盆栽村があったことを思い出す。1980年代、何度か外人観光客を連れて行った・・・。

テニスの大阪なおみ選手、コーチ契約を打ち切り。何があったのか。折角、全米、全豪と二連覇したところなのに。たぶん、金がからむ問題だろう。邪推だけれど。

メキシコの麻薬王がニューヨークの裁判にかけられているが、間もなく判決が出るという。終身刑の可能性大。過去、収監されて2度刑務所破りをして脱走している強者で、ニューヨークの橋を渡って移動する際も一般車はすべてシャットアウトするという警備ぶりらしい。証言台に立つことが、証言者の命にかかわってくるほどの力を持つ麻薬王の妻は28歳のビューティーコンテスト優勝者。「美」とか「女」というのは「道徳」とか「善」よりもむしろ、「権力」、「金」、「悪」と相性がいいようだ。

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-47226247

数年前43名の大学生がメキシコのある地方でで行方不明になって後で麻薬の犯罪組織に殺害されたことがわかり世界的な大騒動になった。2007年からの10年で20万人近くが殺されているというのだから驚きだ。

昼食:面倒くさいので、じゃがバターを作る。ジャケット・ポテト。ロンドンでもよく食べた。バター、マヨネーズ、塩コショウ、ハムとチーズのトッピング。

戦犯の天皇の息子が謝れば云々で、韓国議会議長の問題発言が騒ぎとなっている。天皇は極東軍事裁判で戦犯対象からはずされた。政治的思惑があってのことだ。しかし、歴史的事実であり、公的な立場である人の発言とすれば、「大失言」「大暴言」であろう。

屁理屈を言うな、と言っても彼らの心には届かないようである。彼らにとって、日本とは理屈を超えるネガティブ・シンボル、つまり、反日とは建国神話そのものであり、韓国ののアイデンティティ=国体なのだ。反日であるということが、韓国人の証なのだ。

中国の台頭もあって、日米韓の同盟は揺らぎ始めた。南北朝鮮が対立しているというより、現状は朝鮮半島対日米同盟の様相を呈し始めている。38度線がなくなる日が現実味を帯び始めている。ドイツともベトナムとも違うどんな形になるのか想像もつかないのだが。強いて言えば、一国二制度(中国と香港)の変形バージョンを思いうぶが、「主権」はどうなるのだろう。核は金体制に対する担保である。核放棄ということは、金体制の終焉である。このジレンマをどのように解決すして朝鮮半島を統一するのだろうか。

私には不可能であると結論するしかない。唯一可能なのは、金王朝一族の第3国への亡命と延命と生活保障を認め(暗殺などもってのほか)ることで「非核化」を西側は担保し、国連管理(実質的には、米中日ロ)のもとに、ポスト・金の体制を5年乃至10年の猶予期間(一国二制度)で北朝鮮に作り(可能かどうかは未知数)、その間に統一選挙を実施して統一政権を発足させる、というのが唯一現実的に見えるのだがどうだろうか。

宮家氏の著書で、氏は今の極東情勢を日清戦争前夜になぞらえている。自らの安全保障の為に、その時々の周りの強国のバランスの中であっちについたり、こっちについたりを宿命づけられた朝鮮半島の悲哀。朝鮮半島の地政学が韓国に外交の基軸を作らせないのだ。北朝鮮にとって、G20にはいる経済発展を遂げた韓国は「お宝」(中国にとっての香港)である。核保有で自らの王朝体制を担保した?北朝鮮の次の一手は、自らの改革開放に利用すべく韓国をいかに取り込むかだ。間違っても韓国をぶっこわすようなことはしないだろう。米・日に対しても核は怖くて使えない(使ったら、北朝鮮が地図から消えてしまう報復を受ける)。南北の両国の小競り合いはこれまで何度かあったけれど、ほとんどが北から南に対するテロと挑発だった。もはや、北朝鮮はかつての朝鮮戦争のように、通常戦力による国境越えは出来ない(その物理的手段がもはやない)。やったら、日米韓の同盟軍に打ち負かされる。韓国が北にちょっかいを出すことも有り得ない。ソウルが灰燼に帰すこと必至であるのだから。お互いに朝鮮半島が自滅するだけはやめようという暗黙の了解があるのだろう。核も局地戦も戦略的な選択肢とはなりえない。現在の朝鮮半島のあやうい平和を担保しているそもそもの根本は何か。それは、韓国の経済的な成功なのである。

地政学は別として、日本と朝鮮半島の和解は半永久的に無理であろう。次の大きな政治的地殻変動とさらなる悲劇がなければそれは無理というのが私の見立てである。人は独仏和解の例を言うけれど、いやというほどお互いに殺しあった上での妥協である。日本と朝鮮半島はまだそのレベルに達していないから独仏のような形式的友好を結べないのである。とことん対立して互いに悲惨な目に遭ってもういい、やめよう!ということにならないと、体面・面子がじゃまして嫌悪感を克服した上での大人の付き合いができないのだ(常に挨拶と握手は欠かさないけれど時折足での蹴り合いはある)。

夕食:豪州産のステーキ(140㌘)、ポテトサラダ、ホウレンソウのお浸し、ミネストローネ、ご飯少々。
夜、Yちゃんの英語教育の相談に乗る。中学3年間で英検準2級レベル、高校2年で2級、大学1年で準1級、TOEFLで61点以上を目指すこと。大学在学中に交換留学を半年か一年。卒業までにTOEFL80点(TOEIC850~900)のプランを提示する。計画を立てて頑張れば実現できると。英会話学校ではなく、英語塾を勧めた。本人が目覚めればもっと前倒しが可能だとも。グローバルのトップ・レベルで切った、貼ったをやるにはだとTOEFL100点以上ないと厳しいけれどそれは大学生になってから自分の進む道を決めて取り組めばいい。今は、とにかく英語に触れて慣れること。基礎をしっかり身に着けることが大事だと。一定のレベルからは、英語以外の基礎教養が大事だからそっちもがんばらないとね。余裕があれば、英語の次の言語も忘れないこと。選択肢は、自分の興味次第だが、功利性の観点からは中国語を勧めた。

2018年12月18日 (火)

The Global Cold Warをついに読了!

12月16日(日)曇り時々晴

5時過ぎの目覚め。The Global Cold Warの最後の数ページを読む。6時13分、アカハラの地鳴き。6時半前、読了。ほぼ一ヶ月くらいかかっただろうか。

朝食:ハムエッグ、納豆、ご飯少々に味噌汁。

著者は、第2次世界大戦終了からソ連崩壊までの冷戦とは米ソ両超大国の戦略と軍事力を巡る戦いではあっても、ヨーロッパが中心となるのではなく、第三世界を巡る両大国の確執を中心テーマとしてとらえている。

第三世界とのかかわりにおいて、米ソの動機が従来のヨーロッパ諸国型の「反植民地主義」であったが、実質的には「新しい植民地主義」であった、と著者は主張している。キーワードは「近代化」。

ソ連共産党とは、伝統ロシアを否定した近代国家を作る政党であった。したがって、9割以上を占める農民(どちらかという農奴に近い)を否定して、現代人に作り替える政策を行った。ロシア革命直後の内戦においては、政権を握ったボルシェビキは反政府派(帝政派、ブルジョワ層、反革命派等)をことごとく国外追放するか、抹殺(殺す)した。容赦のない残虐さで。その次になされたのが農業の集団化でありこれも容赦なかった。富農(クラーク)などの反対農民は抹殺された。(恐ろしい話だ。共産主義革命にともなう信念に基づく大量殺戮は、中国でもカンボジアでもあった。ナチスのユダヤ人虐殺と同じものだと思うが、ナチスの犯罪を相対化するものとして、この対比は批判されることが多いというか、学会主流は、特にドイツにおいてはタブーらしい)。

第三世界にとっての目標、すなわち、「国の独立」と「近代化」を達成するということでは、米ソと同じ理念を共有していた。しかし、どのようにしてこれらを実現するのか、については米ソのいずれかのモデル選択肢があった。場合によっては二股をかけることも可能であったのだ。そのうえで、冷戦の悲劇は、二つの超大国の正義は、ゼロサムゲームであったこと。一方が勝つということはもう一方が消滅するという恐怖感だ。第三世界側にも問題があった。止めどもない内紛である。近代化を目標としながら、アメリカ型またはソ連型を選択したとしても、第三世界の人口の殆どを構成していた農民社会は中央からの強引な権力による近代化のための強制に消極的ながら反発をしていく(旧来の植民地時代と同じ)。エスニシティーと宗教と血縁・地縁=伝統の拘束は強いのであり、両超大国のイデオロギーに基づく地元のエリートの近代化政策は難航あるいは頓挫することになる。

ソ連崩壊までの最後の10年、ソ連政府の予算の三分の一は軍事予算で使われていたというのは驚きである。小室直樹氏の「ソビエト帝国の崩壊」をパラパラと参照したのだが、まさにそのことに触れている。ソ連の軍事産業は当時の日本の国鉄であると。「社会的事実」までになってしまったソ連の軍事産業(ひょっとすると、軍産複合体を擁するアメリカも同じか)は、効率が悪く赤字を垂れ流しても(当時の共産圏では、資本制国家の利潤という概念はなかったが)簡単にはリストラや効率化ができなかった。小室氏はかつての旧日本陸軍になぞらえている。中国・満州の権益=陸軍であったが、最終的に日米戦争になった原因である。陸軍の断じて譲れない聖域。かくて、国益はないがしろにされ自滅の道をたどることになる。ソ連における軍の地位が斯くまでに高いのはなぜか。独ソ戦で国が亡ぶ(ヒトラー・ドイツはソ連人を殲滅・奴隷化しようとしていた)瀬戸際まで追い込まれた恐怖とそれを救ったの輝かしい赤軍の活躍にあるという。軍人は普段でも勲章と軍服を着るのを誇りとしており、国民も敬意を払っているのだ。おいそれとは手を付けられないのだ。

ソ連の第三世界への介入(アフガン紛争当時)に投入した費用は国家予算のわずか2.5パーセント。アフガン戦争が泥沼化したものの、ソ連は、撤退せずに支援続けようとすれば続けることは出来た。しかし、ソ連の民生は1970年代以降下降線を辿った。特に問題となったのは、原油価格の暴落だった。私有財産を否定したソ連型社会主義経済の非効率さは、1970年代にソ連を農産物(穀物)の輸入国に転落させた。また、国家予算の三分の一が軍関係の予算に消えていった。資源の効率的な有効活用が出来ず民生は悪化するばかりであった。一方で、1980年代の韓国・台湾を筆頭に東南アジアの発展は目覚ましいものがあった。社会主義国やそれへ傾倒する者たちに自分たちの信条に疑念が生じる(社会主義経済とは、発展途上国の経済政策であって、結局自由主義経済に永遠に追いつけない)。かくして、社会主義イデオロギーは色あせ始める。ゴルバチョフのグラスノスチとペレストロイカによる国内の民意も批判的になっていく。1991年夏のクーデターは、スターリン主義へのとんぼ返りを意味していた。そして、多くの共産党員はそれを望まなかった。雪崩を打って共産党は崩壊した。つまり、ソ連の崩壊。

エール大学のバンクロフト賞を受賞した秀作を読破した余韻に浸りながら午前中を過ごす。各章ごとの要約を作ってまとめをしないと全体像を見失ってしまいそうだが、細かい事は別として、冷戦の結果、アメリカが勝利したことになっていはいるが、著者はアメリカに対しても手厳しい。冷戦終了当時、世界は4人に一人は少なくともそれなりの豊一定水準の生活を享受していたのが、、21世紀に入った今日、この割合は悪くなっている(6人に一人)。1990年代以降は、グローバリゼーションが進んだが、この言葉が意味するものは実質的にアメリカ化である(自由民主主義と市場経済主義)。アメリカは冷戦の勝者になることによって自らのイデオロギーを地球規模でおし進めている。冷戦時代と同じ第三世界への介入を相変わらず繰り返しながら。その結果が、2001年のアメリカで起こった同時多発テロである。米ソを含む西欧諸国が(1415年にポルトガルがアフリカでの植民地化が淵源)第三世界で引き起こしてきた西欧世界の罪業と比較するなら、9.11テロは被害者側による「それと同等のレベルの犯罪」なのである、と著者は言う。9.11の犯罪性をとやかく言うより、どこで起こったか、というのがポイントなのだ。確かにアメリカは対抗するものがない超大国である。米ソの冷戦時ですら、厳密にいうなら米国の力があらゆる点で勝っていた(マルクスの予言通り)戦いだった。

しかし、抑えるものがいないこのアメリカの力がその「道徳性」を担保するわけではない。アメリカの対外姿勢(外交)=アメリカの国是を広めることがアメリカの使命であり、万人の幸福でもある、という信念にもとづく他人へのお節介=介入姿勢は、半永久的に変わらないであろうと著者は悲観するが、それでも、ベトナム反戦や中南米への理不尽な介入(イラン・コントラ事件)などへの批判が国の行き過ぎを修正する経緯が過去に余地があり、アメリカの自己の軌道主勢力への淡い期待をかろうじてながら表明している。

お昼:スパゲッティ・ペスカトーレとコーヒー。

午後:10度に届かない寒さと潮が動かないことを考え、釣りは断念。2階で本の整理をしながらブックサーフィンをする。小室直樹氏の「ソビエト帝国の崩壊」は再読した。

夕食:サバの文化干しとロースハムを肴に赤ワインを飲む。

2008年1月19日 (土)

いわゆる「黒幕」というものについて(雑感その1)

サブプライムローンの影響がじわじわと世界経済をゆるがせている。日本株が売られ、経済担当大臣が「もはや日本経済は一流ではない」と発言して波紋を呼んでいるという。昭和31年経済白書の「もはや戦後ではない」を想起させる聞き過ごせない言葉だとテレビのニュース解説者はコメントしていた。

しかし、「そんなのオレには関係ねェ」とまでは言わないが、海外留学や語学研修生を送り出すために現地の教育機関に送金する手前、米ドルがこれだけ下がってもらえるのは大変ありがたいことだと思う。昨年の同時期が1ドル=121円。昨日の送金レートが108円を切っていた。13円X2500ドル(一人)として32500円も安くなったのだ。苦しい家計を預かる保護者はさぞかしホットしているだろう。

一般教養として経済学は勉強したつもりだが、現在の経済現象はどうなのだろうか?エコノミストと言われる専門家はいろいろ説明してるが、さっぱりわからない。言うことが反対の場合もある。「現象をおっかけて、それにもっともらしい説明をつける、これが社会科学」だとも言いたくなるほど、物理学や数学の世界とはかけ離れて、明日が読みにくいのがこの人間の世界の現象だ。

経済現象とは要するに売りか、買いかしかなのではないか?とくに、このグローバリゼーションと言われて久しい「世界が市場マーケット化」した21世紀においては。それも「大きな賭博場」と化してしまったのではないか?そして、どこかで笑っている胴元がいるのではないか?いわゆる巨大投資ファンドを操る人たちだ。損をするのは普通の大衆庶民ということではないだろうか?

胴元は逆張りが出来る。ロスチャイルド家が、ナポレオン戦争時において伝書鳩を使って、株で大もうけした話を想起してしまう。両方に掛けておいて、胴元として情報をいち早く掴んで最後に笑うもの、というのがいるらしい。

陰謀史観というのがあるらしい。2001年の9.11事件は衝撃的だったが、その直後からこれはヤラセではないか、という噂があった。私も、仕事上のつながりでヨーロッパの人とメールをやり取りしていて、オーストリアのある方から、「アメリカのヤラセ」だというのを聞いて驚いた記憶がある。そして、インターネットにはこんなサイトもあるのだ。

http://www.anti-rothschild.net/

年末年始に、経営コンサルタントとして著名な船井幸雄氏と保守派の論客渡部昇一氏の「国家の経営・企業の経営(その成否は「トップ」で決まる)を読んだ。渡部氏のするどい論法は相変わらずだが、船井氏もふところ深い聞き手となっていて、なかなか読んでいて楽しかった。その中で、船井氏は、実業家と携わるなかでは、当然ながら、闇の勢力、いわゆる黒幕、については勉強したそうで、現実の世界はこれを無視できない、と述べているのが印象的だった。しかし、これからの時代は、闇の勢力による陰謀というのは通用しなくなるだろう、と。

続く

2007年10月 7日 (日)

昨日の日記の続き~大東亜戦争とは?

沖縄戦の悲劇の歴史記述でも日本軍について国会論戦でやりとりがなされている。いわゆる中国・朝鮮半島の人たちが問題にする「歴史認識問題」にも繋がる問題だ。 

東アジアで反日的なのは朝鮮半島と東アジアの華僑だけだという人もいる。大東亜戦争中、大日本帝国は大暴れに暴れてしまった事実は否定できないが、それによって西欧列強の植民地主義とそれにぶら下がって懐を潤していた華僑は没落した。よって、日本への恨みは親子代々受け継がれる。一方で、植民地支配の潤いにあずかれなかった人たちは、日本軍を歓迎したというのも事実である。 

ユダヤ人虐殺の悲劇はこれでもか、これでもか、と世界のマスコミを牛耳るユダヤ人に流布されるごとく、アジアでの日本の蛮行をこれでもこれでもかと流布するのは、こういった中国系の人たちである。 しかし、これら被害者として攻め立てる人たちが、これまで逆の意味での蛮行をして来なかっただろうか? 旧約聖書の中でユダヤ人が非ユダヤ教徒を虐殺するシーンがあることをご存知だろうか? 西洋世界はこの500年間に非キリスト教世界の中でどれだけ蛮行を繰り返して来ただろうか? アルメニア人が訴える今世紀初頭のトルコ人による虐殺。 トルコ政府は公には認めていない。 

フランスで出版された共産主義黒書(ソ連編、コミンテルン・アジア編)をぱらぱらめくれば、気が遠くなるような虐殺の数々。私が大学時代のころまでは、それでもまだ社会主義・共産主義というのはある種の魅力をもっていたと思うが、内側でのなんというおぞましい体制だったのだろうか? どうも、人間は自分の仲間ではない思う人たちに対しては、どんな野蛮なことでも出来てしまう残虐性が眠っているということに今更ながら愕然とする。 そしてまた、どうしてあるものがことさら大きく取り上げ、あるものは闇に葬られてしまうのだろうか?という素朴な疑問がわきあがってくる。片方の目であることを上げつらい、もう一方では目をつぶるのである。そろそろ、人間は「言論の暴力」というマスコミの作り出す意識的な?あるいは無意識の?ウソ・でっち上げに気づくべきだ。

「教科書問題」や「憲法問題」や「歴史認識問題」その他、「大東亜戦争」をめぐっての評価でもめる原因はまだまだ、我々アジア人にとってあの戦争が現代と繋がっているからだろう。過去のものとして客観的に冷静に評価できる地平がないのだ。 

中国や朝鮮半島とって、「反日」とはまさに、自らのアイデンティティそのものだ。 19世紀初頭のナポレオンの暴発によって祖国防衛戦争に立ち上がった、ヨーロッパの人々が反フランスで国民国家の意識が生まれたように。

日本人自身にまだ過去の戦争の清算が出来ていないのも問題だ。最近、台湾人の黄文雄氏の「大東亜戦争肯定論」を読んだのだが、文明史的な観点からなかなか鋭い論評がなされていた。私なりに整理して自分の言葉でまとめてみると以下の通りになる。

     大東亜戦争とは、第二次世界大戦という大きな括りの中では、アジア・太平洋地域で行われた20世紀最後の帝国主義国同士の戦争であり、その意味ではたとえ日本が負けたとしても、戦争犯罪などといういかがわしい論理で裁かれる戦争ではなかった。 

② 帝国主義戦争という意味は、大日本帝国 対 大英帝国+アメリカソフト帝国主義+その

  他(フランス、オランダなどの旧植民地)を指す。 植民地、準植民地の方々には申し分けないが、当時はそういう時代だった。 (ちなみに、現代の中国の教科書には「日露戦争」の記述がないという。現在、東北地方と呼ばれる中国の一部となっているこの地域は、当時は中国とは見なされていなかった。よって、自分たちの国という意識もなく、血を流してロシアの侵略から守ろうとする行動すら取らなかったことを現代の中国政府は国民から隠蔽している。歴史の捏造である。満洲国というのは、帝国主義時代に日本が血で購った代償であったのだ。それ以前、当時の清朝時代の中国は、古代さながらに人々は生きており、中国という国の概念も持っていなかった。 天下、つまり地の果てまでが「彼らの世界」でその向こうは蛮地という意識だけだった)

     日中戦争とは、実は、ベトナム戦争が「アメリカが後押しする旧植民地支配者フランスとくっついていたベトナム人支配層」と「ソ連・中国が後押しする共産主義者、反帝国主義者、祖国解放を共産主義に掛けた愛国的なベトナム人」が一般の人たちを巻き込んだ戦争であったと同じ意味で、その先駆け的な戦争だった。 中国人達は帝国主義の代理戦争をしながら、国民国家としての意識を確立し、勝利した国共合作組(=アメリカ・イギリス・ソ連組)が正統性を得たのであって、敵であった中国人政府・汪兆銘は国賊となり、後押しした日本は、彼らの正統性を担保するネガティブなものの象徴となってしまった。もし、日本が勝っていたら、汪兆銘政権が正統性を獲得して展開は変わっていたであろう。 歴史のIFは現実によって否定されるけれど、作り出された現実の意味を考える上では必要である。

     したがって、アジアにおける第2次世界大戦(大東亜戦争)には、1945年以後の共産主義イデオロギーとセットになった反帝国主義・植民地解放戦争の側面がある。その中で、日本は引き裂かれ、敗れ去った。 西欧の民主主義国家のイギリスやオランダ、フランスも結局は、戦前の状態復帰を望んだものの、敗れ去っていった。

     その後の展開は1989年のベルリン壁の崩壊と1991年のソ連崩壊で記憶に新しい。共産主義というユートピアは崩壊した。その間、日本は平和と繁栄を貪ることが出来たが何故か?アメリカという大国のアジアにおける戦略的なショーウィンドウ的基地の役割をもらったからである。そして、その機会をアメリカが期待する以上に果たしてしまった。戦勝国のフィリピンを比較してみよ!

     いわゆる「平和憲法」もそれをお題目のようにとなえる「平和屋」も基本的なことを忘れている。平和とは、戦争のない稀な状態であることだ。今も世界のあちこちで戦争が起こっている。そこに平和憲法を作っても無意味だ。戦争が起きないようにする普段の努力が必要であって、その努力の中には、つまり攻めてきたらやり返すぞ、という力を誇示することが必要なのだ。実際に攻めてきた場合には、血を流して守らなければならないのだ。言葉の前に、現実が来てしまうのだ。 日本はアメリカの核の傘でこれまでやってこられたから、平和だっただけの話だ。だから、もうマッカーサーが12歳の日本人に作ってくれた憲法は、書き直すべきだ。書き直しが国民の合意のもとに出来たとき、我々日本人は過去の戦争を清算できたことになるだろう。

私はアメリカ、中国と肩を並べて核を持ち軍事力を持って政治力を持つべきだとは思わない。しかし、経済力に応じた、備えは必要だと思う。武力をちらつかせて「やくざまがいのことはさせないぞ」、という気概と実質的な反撃意意思表示それを裏付ける物理的な強制手段は絶対必要だと思う。 自由貿易体制は、平和憲法だけでは維持できないと思う。それを否定する北鮮のような存在がある限り。また、自由貿易体制の自己責任(自立的な倫理)がなっていないし、明確な敵がいないにも関らず軍備拡張を不気味に続ける中国のような国がある限り、理念と同時に物理的強制力は必要だ。彼らも目の上のたんこぶである日本が、かつてのように、アジアで勝ってし放題しないように強制力・タガをはめる為に、あらゆる軍事力も含めたあらゆる政治力を駆使してくるように。

日本は、自由貿易体制が崩れたら江戸時代以前に戻らなければならない。人口3000万が、貧しいながらに飢えることはまれな平和な時代-ただし、外の勝手な政治力が我々の太平の眠りを妨げない、ことが前提だがーに戻れば良い、それも悪くないかも知れない。 が、しかし、我々人間は資本主義、それもグローバル化した自由市場という制御できない化け物の中で日夜労働に明け暮れ、市場を媒介に情報と金と物を交換しなければならない「うなりをあげる」渦巻きに深く囚われてしまっているのも現実だ。 江戸時代に戻る? こんな暢気なことは言っていられない現実が刻一刻とせまっている予感があるのも事実だ。

思考はどめどもなく展開していくけれど、「きりがない」し、私の日々の生活にこれまで展開した「たわごと」がどれだけ関係するのだろうか? 

2007年2月 5日 (月)

北朝鮮再び・朝鮮半島の宿命

朝鮮半島は、今でも大国の草刈り場だ。

テレビ(NHKのBS放送)で、間もなく再開される「六ヵ国協議」に先駆けてのロシアの北朝鮮専門家のインタビュー報道を見た。なるほど、と思われるコメントがあった。トカチェンコ氏は旧ソ連時代から北朝鮮の専門家として知られ、現役引退をした現在も、ロシアでは朝鮮半島問題のご意見番だそうだ。以下、同氏のコメントを踏まえながら、自分の考えを述べてみたい。

北朝鮮問題の鍵をにぎっているのは中国だ。そして、中国がこれまで取ってきた政策は、北朝鮮を「生かさず、殺さず」というもの。中国は大変賢い政策をとっているのだという。

中国が一番恐れているのは、北朝鮮が、中国から離反して、アメリカ(政治・経済的に)や日本(経済的に)との結びつきを強めることだという。何故か?トカチェンコ氏の話では、中国は北朝鮮は自分たちの領土!だと考えているからだ。数年前だが、中国の公式的な歴史見解で、高句麗はかつての中国の一地方政権であった、と発表して韓国政府が抗議したことがあったことを思い出してしまう。

政治というのはまことに複雑にして厄介である。中国の東北地方には約200万の朝鮮族がいるのだそうだ。彼らの日常生活は、朝鮮語で文字もハングルを使用しているバイリンガル(公式の場では、中国語を話す)の中国人なのだそうだ。朝鮮族というと、日本にも数十万の単位で(朝鮮半島の“合邦”による影響)、さらに、アメリカ合衆国にも百万単位でいるのだが、さらに、ロシアにも朝鮮族がかなり存在している。この朝鮮族の分布~国境を越えた分布~は、ロシアの極東進出、日本の満州国建国などの帝国主義時代の影響もあるが、もともと、いわゆる、中国東北部は、ウラルアルタイ語族の言葉を喋る半遊牧・半狩猟民族がすむ地域だったという歴史的背景があるのだ。

いずれにしても、朝鮮半島周辺の大国(中国、ロシア、アメリカとその子分である日本)にとって、朝鮮半島が統一するということは別の意味で厄介という事情があるようだ。 韓国が4000万、北朝鮮が1500万~2000万として、韓国主導で南北統一が実現すれば、人口6000万前後の大国が出現してしまう。中国・東北部の朝鮮族やはたまた、沿海ロシアの朝鮮族にも影響することは必至である。メキメキと力を着けている韓国の資金と技術力、北朝鮮のただ同然に近い安い労働力が合体すれば、また一つの大きな政治力が出来上ってしまう。

しかし、現実は甘くない。どの大国も本音では、朝鮮半島の現状維持を望んでいるようなのだ。韓国ですら、南北統一省を作っているが、本音は、当面、現状維持なのではないか?ドイツの統一の先例がある。共産主義陣営の優等生をもってしても、旧西ドイツの資本主義市場で東ドイツは使いものにならない、ということが広く一般に知られることとなってしまった。況や、北朝鮮に於いてをや!統一後の困難と必要なコストを考えると、現状維持政策を取らざるを得ないのだという。

結局、南北分断という現状は、建前上、「悲劇」であり、南北統一は「悲願」のはずなのだが、本音のところでは、誰もが、望んでいることなのだ。 北朝鮮の国是は、「南朝鮮」の開放だそうだが、もはや、これは夢物語だ。おそらく、金正日ですらもう、信じていないだろう。豊かになった韓国人で、北からの開放を望む人は皆無といっても間違いないだろう。

よくよく考えると、朝鮮半島の構図は、19世紀末と全然変わっていない。唯一の例外は、20世紀の前半、日本が、日清・日露戦争の勝利から日本の敗戦まで、その間の朝鮮併合と満州国時代である。そして又、没落したヨーロッパのプレーヤーが現在はいないということだろうか。アメリカは、東アジアに対するコミットメント政策を維持しているが、もし、何らかの理由で東アジアから手を引くことになれば、事態は、7世紀頃の極東情勢と同じになるであろう。

当時はまだ、ロシアなるものは極東まで進出していなかった。21世紀の現在、ロシアは、もともとヨーロッパ指向で、ソ連崩壊以来、極東での積極的関与は控えている。既得権益はしぶとく維持しているが・・・。とすれば、朝鮮半島は、もともとの東アジアの大国中国ともう一方の大国アメリカ及びその同盟国日本との間で、翻弄される存在であり続けることになる。

7世紀、朝鮮半島では、3国鼎立で覇を競っていた。朝鮮半島中部に割拠していた新羅が、南部の百済と北部の高句麗を、唐と結託して滅ぼして、南部・百済と関係の深い日本勢力を朝鮮半島から追い出して、朝鮮半島を統一すると同時に、唐の朝貢国(服属国)となった。これが、朝鮮半島の宿命となった。日本離反と中国への追随である。19世紀末でも、日本からの圧力に、まずは、清に頼り、日清戦争で清が退くと、今度は、ロシアに頼り、日露戦争で、ロシアが退くと、あとは、日本の独壇場となってしまった。

朝鮮半島の悲劇とは、常に周りの大国を見ながら、内部分裂を余儀なくされてしまう、地政学的な宿命ということになるだろうか?

(続く)

2007年1月11日 (木)

北朝鮮の核問題を考えてみる。

仕事と野鳥三昧ですっかり世の中一般のことに背を向けていたのだが、昨年12月を過ぎた頃から余裕が出来てきて、まずは、極東で問題になっている朝鮮半島の北朝鮮問題について本を読んだりして考えてみた。

テレビでも新聞でも雑誌でもいろいろと報道されているが、年末に読んだ重村智計氏著「朝鮮半島の核外交」(講談社現代新書)がいちばん核心をついた解説をしているのではないだろうか?

この本を読んで一番感心したのは、北朝鮮の国力、つまり、経済力を誰も正確に理解せずり議論しているという指摘だろうか。著者によれば、北朝鮮の国家予算は日本の島根県予算より小さいという。そして、北朝鮮は絶対に戦争は出来ないと指摘する。これは、彼らの石油輸入量を見れば、2週間以上戦争は継続できないことが明らかだからだそうだ。又、通常兵器も経済破綻をしているため、旧式のものがほとんどで、これは日本の自衛隊も含めて在韓米軍・韓国軍関係者では常識になっているそうだ。北朝鮮の食糧問題がかなり深刻なのは世界の常識になっているが、もっと深刻なのはエネルギー不足だという。まともな経済活動を維持することもままならないのだそうだ。

では、何故、北朝鮮は、核兵器開発にこだわるのか?著者の結論は、核兵器を持つことで危機を煽り、周囲の国の注目を集めるためだそうだ。実は、北朝鮮にとって危険な国というのは存在しないという。中国も、ロシアも、韓国も、日本も、そしてまた米国も北朝鮮に対し戦争をしかける理由がない。パキスタンとインドの場合は宿敵同士、お互いに水と油の敵であり、核兵器を持つ理由があるが、北朝鮮にはないのだ。北朝鮮に冷戦が終わって、もはや潜在的な敵がいないのに何故、核兵器を持つのか?唯一考えられる理由は、常に周囲の注目を集めておくことなのだ、そうだ。北朝鮮にとって困るのは、誰からも相手にされないことだという。北朝鮮に対して、もっとも効果的な方策は、まともに相手にならないこと、これだという。したがって、アメリカのブッシュ大統領の基本的な対応姿勢は間違っていないという。

金正日だが、北朝鮮の国家予算規模が日本の島根県と同レベル(人口100万未満)ということは、本来なら、県知事レベルの首長だということだ。天下のアメリカ、中国を振り回す、この島根県より小さい北朝鮮だが、経済破綻を言われ相当数の餓死者を出しながら、相変わらず大規模な軍隊を維持し(軍隊というのは金食い虫である)、核兵器を持ってしまったようである。「核兵器保有」は、「金王朝」自らの政権の生き残りが目的なのだ。人民民主主義と社会主義の看板は大嘘である。核開発を放棄すれば、1994年のアメリカとの合意で現在の輸入量に匹敵する石油をただで手にすることが出来るのに、それを棒に振ってまで固執する理由はそれ以外に考えられないのだ。もしそれを飲めば、自らの政権が崩壊してしまうと恐れているのだそうだ。国民を犠牲に、自らの特権を守り、生き残るためにやっていることなのだ。

だから、現政権の北朝鮮に対する宥和を続けている限り、核兵器放棄は絶対ない、と重村氏は言い切っている。何故なら、核兵器を保有することが、自らの特権を守る唯一手段だと信じており、しかも通常兵器より安上がりな!手段だからだ。問題は、核兵器を持つことが、本当に現政権(自らの特権)を維持することになるのかどうか、保証がないのに、出来るものと硬く信じ込んでいることだ。

日本の対北朝鮮のスタンスは、安倍総理になって始めて明確化された。拉致問題と核問題が解決されない限り、国交正常化はない、という基本スタンスである。何故、これまでこの拉致問題が解決しなかったか?これは、歴代の日本与党政権が、北朝鮮に対してこの基本方針でキッパリと対応しなかったからだ(出来なかった)。その意味で、自民党も含めて日本の学者やマスコミも含めた社会主義を信奉する左翼シンパの罪は重い。今でこそ、朝鮮総連はじめ、いわゆる日本左翼シンパはなりを潜めたが、冷戦が崩壊してからもしばらくは、北朝鮮の拉致問題を学者やマスコミが事実を報道しようとするなら、ものすごい嫌がらせ、バッシングを受けたという。冷戦が崩壊し、社会主義政権の醜悪な部分が次々と暴かれ、かつての栄光は地に落ちた。しかし、それでも、日本のマスコミや学者には、その余韻が残っているという。これでは、朝鮮半島を冷静に見ることは出来ない。日本が譲歩する必要はない。人質問題と核問題が解決されたら、国交回復をすれば良い。その逆は有り得ない。核兵器は脅威だが、これは、核の抑止力をもつ、アメリカ、中国、ロシアに処理してもらうことだ。彼らが、不作為で何もしないときは、日本は核武装すべきだ。(これは私の意見)。

北朝鮮の核問題で誰が得をしたか?実は、ある意味で日本であると著者は言う。日米同盟は、冷戦終了で、主要な敵、ソビエトという共産勢力を失った。共通の敵があるからこそ、同盟は成り立つ。敵がなくなれば、かつての日英同盟と同じ運命になっていた。小泉外交は、あやうく北朝鮮宥和に傾き、日米同盟をご破算にする寸前まで行ったのだ。

重村氏の本を読んで勉強になったのは、中国、ロシアと北朝鮮の関係である。北朝鮮がかつて日本の左翼陣営から輝ける社会主義国と礼賛されていた実態は、ソ連、中国の友好価格にもとずく経済援助漬けの国だった。まさに、従属経済理論のサンプルである。

ゴルバチョフの登場のソ連(そしてその後のロシア)に捨てられ、中国に捨てられ、八方塞がりになってしまった北朝鮮。 北朝鮮の外交は振り子外交と揶揄される。ソ連にくっついたかと思うと、中国にくっつき、両方から蹴っ飛ばされると、韓国と宥和政策を取るというパターンなのだそうだ。現在六者協議の枠組みでの解決をはかろうとのアメリカの思惑で動いているが、主導権は確かに中国にある。中国は、実はロシアをはずしたかったらしいが、北朝鮮が動いて、ロシアを入れたという。

中国・ロシアは、対アメリカを牽制する意図もあってなのか、アメリカ・日本のような強行措置には反対で、対北朝鮮に融和的に振舞っているように見えるが、実態としては、間違いだ。中国にしてもロシアにしても、北朝鮮はもはや同盟国ではない。同盟国でないということは、北朝鮮は戦争は出来ないということなのだ。現金決済でなければ、ソ連は北朝鮮に最新の兵器などは売らないという。一方で、プーチン大統領は、金総書記に、個人的に名馬をプレゼントしたりはして取り入っているという。

北朝鮮という独特の儒教社会主義、言ってみれば李氏朝鮮の生まれ変わりのような政権を作ったのは、実は、大国のエゴでもあった。冷戦崩壊後、ソ連、中国などはあっさりと韓国を承認し国交を結び、北朝鮮を無慈悲にも捨てたのだ。誰にも相手にされなくなった国、北朝鮮。冷戦崩壊後から、孤児となってしまった北朝鮮の金王朝とその特権階級の生き残り策の結果が、現在の「核兵器開発」に煮詰まったのだ。何という悲劇だろうか!

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